【赤い糸】
赤い糸なんてものはない
あったとしても
すぐに切れてしまう
私には
誰かと繋がるようなものは
存在しない気がする
誰かと一緒に居ても
心はいつも独りだ
相手にどんなに愛を囁かれても
どんなに親切にされても
自分が受け取りたい相手ではない
好きな人はいつも
私ではない人を見つめていて
私の気持ちは届かない
ようやく通じ合ってもたった一瞬
すぐに壊れて消えてしまう
だから赤い糸なんてものは
もし次に現れるようなことがあれば
今度は自分から断ち切ってやる
信じても喜んでも
どうせ裏切られるのだから
【入道雲】
あの大きな雲が
怪物みたいに襲ってくるのを想像していた
幼稚園児は
小学生になると
あれが大きなわたあめになったら
たくさん食べられるのにと思い
中学生になったころ
あの雲がなければ
雨に降られることはなかったと考えて
高校生になったら
初めて付き合った人と眺めて笑い
大人になった今
入道雲を見ることすら忘れているんだ
【夏】
海に行った
君と波打ち際ではしゃいで
水着に着替えて泳いだ
海の家でかき氷を買って
ビーチパラソルの下で食べた
そのあとは手を繋いで歩いて帰った
本当に楽しい一日だった
夏が終わろうとしている
二ヶ月前の楽しかった日を思い出しながら
独りで海に来てみた
あれから君と会うことはなくなって
海の家は幻のように消えてしまっていた
夏はいつだって私に夢を見させて
終わると同時に現実を突きつけてくる
【ここではないどこか】
ここではないどこかに行きたい
遠くの町に行きたい
大都会に行きたい
自然がいっぱいのところに行きたい
だけどどれも叶わないなら
居なくなってしまいたい
【君と最後に会った日】
あなたなんて嫌いと
泣きながら言われて
そのまま僕の家を飛び出していった君と
会うことは二度となかった
君と最後に会った日
君は泣いていた
あんなに大事にするって
たくさん笑わせるって
自分と約束していたのに
君との最後の思い出の中で
君はいつまでも泣いているんだ