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1/21/2024, 10:31:30 AM

【特別な夜】

アンタが好きだ、と言われて
俺は笑顔でそれを受け入れた
僕はずっとアンタだけを見ていたんだ、と
俯きながら話す君に
ありがとうと答えた
いつも通りの夜のはずだったのに
君の言葉ひとつで
特別な夜に変わった

1/20/2024, 11:49:08 AM

【海の底】

深く暗く青い海の底
そこにずっと沈んでいる
遥か昔の宝物たち
輝くコインはすでに光を失い
綺麗な絵は跡形もなく
彫刻はひび割れわずかしか残っていない
それらが朽ちるのを見てきた魚たち
そんなことなどどうでもいいと
ただ生きて、暮らしている
海の底は今日も仄暗く、平和だ
数々の宝が価値を失おうとも
魚たちには関係ない
ゆったりとした時間の中で
金銀財宝に目が眩むこともなく
ただただ彼らは
この瞬間(とき)を生きている

1/19/2024, 10:47:30 AM

【君に会いたくて】

ただの友達だった
何人かいる友達の中の一人だった
たった一度ときめいて
何度か電話をして
たまに遠くから手を振り合って
それだけだった
でも、どうしてだろうね
不意に君のことを思い出すんだ
朝、電車に揺られてる時とか
退屈な授業中とか
家で勉強してる時とか
お風呂に入ってる時とか
寝る前とか
気が付けば君のことを考えてる
一日中、頭の中は君のことばかり
ねえ、どうしてかな
たまにみんなで遊ぶ友達の中の一人だったはずの
君に会いたくてたまらないんだ

1/18/2024, 11:34:59 AM

【閉ざされた日記】

ずっとずっと昔
私が中学生だったころ
毎日書いていた日記が出てきた
三十歳の私は苦い顔をしながらそれを開く
あのころに良い思い出なんて無かったと
知っているからだ

中を見れば予想通り
自分の願望を押し付ける親と喧嘩したことや
友達と些細なことで揉めて
そこからいじめに発展していったことなどが書かれていた
もう消えてしまいたいと、何度も書いていた
どれも泣きながら書いたのだろう
書いた文字が滲んでいるページがいくつもあった

二度と開くことなどないと思っていた
あのころの記憶ごと存在を忘れてしまいたかった
そんな、長いこと閉ざされていた日記
開いたことを後悔しかけるほど、読んでいて辛かった

でもね
中学生のころの私に教えてあげたいよ
親とは最近ようやく縁を切れたし
私をいじめていた奴らはみんな、ロクな人生を歩んでいない
そして私は
素敵な人に出会って
誰よりも幸せに生きている
消えなくて良かったと、何度も何度も思ったよ
消えなかったあのころのあなたに、何度も何度も感謝しているよ

1/17/2024, 10:06:43 AM

【木枯らし】

心の中を木枯らしが吹くような
ひどく哀しい気持ちになった
あまりの寒さに耳が痛い
加えて頭も痛くなってきた
この寒空の下
いっそ冷たい空気に溶けていけたらいいと
思うほどに
独りというものは寂しいのだ

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