【寂しさ】
どんなに家族と仲が良くても
どんなに友達と遊んでも
どんなに恋人と過ごしても
一人のような気がしていた
誰といても何故だか寂しくて
心が苦しかった
自分のことを本当の意味で分かってくれる人に
まだ出会えていないから寂しいのだと
やっと気付いた
寂しい時
寂しいと素直に言える人に出会いたい
そして
その人が寂しい時は
隣に居たい
自分が寂しい時は
隣に居てほしい
そんなことを思った
【冬は一緒に】
あなたと付き合ったのが春
あなたと喧嘩したのが夏
あなたと別れたのが秋
あなたとやり直したのが冬
冬は一緒に過ごそうね
離れていた時の分まで
いっぱい笑おうね
寒さになんて負けないで
あったかい気持ちになろうね
【とりとめもない話】
別にさあ、僕はその子に興味なかったんだよね。
マッチングアプリで知り合った子なんだけど、一回デートしたらそれで終わりにしたかったの。
ただ一緒にお茶して、カラオケ行って、ご飯食べて、ホテル行って、あとは連絡なんて取らなくて良かったわけ。
それなのにお茶してカラオケ行って、ご飯食べたと思ったら、僕がホテル誘ってるのに断って帰っちゃってさ。
けど、その後も毎日連絡してくるんだよ。何考えてるのか全く分かんないわ。
それからも二、三回会ったんだけど、本当顔がタイプじゃないし、ホテルに誘ってるのにノリ悪いっていうか……。
しかもその子、話がつまんないんだよね。所謂とりとめもない話を毎回してくるの。
この間なんてね、コンビニで買ったチョコレートケーキが美味しかったって言うんだよ。その後に何かあったのかなと思って聞いてたらさ、ただそれだけなんだよ。
美味しくて満足した、ってことを僕に伝えたかっただけらしいんだ。黙ってじっくり聞いてたのに、時間の無駄だったよ。嫌になるよね。
その次に会った時はね。今朝、赤い服と青い服、どっちを着るかで迷ってたんだー、なんて言ってきたの。それで、その子は赤い服を着てたんだけど、この服で変じゃなかったかなーって聞いてきたんだ。
そんなこと言われても答えようないでしょ。僕はその青い服すら見てないしさ。本当、つまんないし頭の悪い子だよ。
……え、何? 帰るの?
他の女の子の悪口聞かされて不愉快?
僕の話の方がつまらない、だって?
ちょ、ちょっと! 僕とデートしたいって子はいっぱい居るんだからね!? この僕から誘ってデートしてるのに、もう帰るって正気!?
……あーあ。暇になっちゃったな。
仕方ないからあの子に電話して、クソつまんない話でも聞いてやるか。
……繋がらない。え、嘘……もしかして拒否された?
まさかあの女、この僕を着信拒否したわけ? はあ?
ふざけんなよ! こっちは面倒でも付き合ってやってたのに……あれ……僕、なんで涙出てきてんだよ……クソッ!
【風邪】
どうやら風邪を引いたみたいでボーッとしていたら、
遠くにいた君が駆け寄ってきて
「体調悪そうだけど、大丈夫?」
って心配してくれた。
風邪は辛いけど、その優しさが嬉しかったんだ。
みんなから人気のある君が、
地味な私のことを心配してくれるだなんて
思ってなかったから。
元気になったら、
今度は私から話しかけてみようかな。
【雪を待つ】
今年も雪を待ってる
空に還ったあなたが
戻ってくる気がするから
辺り一面真っ白で
寒い日の朝にお別れしたのは
今から十三年前
哀しみを乗り越えて
ようやく笑えるようになって
白い雪もあなたのカケラのような気がしてきて
降るのが待ち遠しくなった
だから今年も
雪が降るのを待ってるよ
会えないあなたを待ってるよ