流れ星に願いを
あ〜 結構、寒いかも!
彼女が文句言いつつも笑顔で
空を見上げている
流れ星がみたい
彼女がそう言って この1泊2日の
キャンプを計画した
俺にとってはドキドキもんよ
彼女と初めての旅行 初めてのお泊まり
もちろん、キャンプだしさ
テントだから その… 初めての
キス以上…なんてのは無理だろうし
そこは諦めてるけど…けど、
彼女の寝顔を見る事が出来るはず!で…
「ね、流れ星って 流れ星が見えなくなるまでに、3回願いを、、だよね?」
少し寒そうに肘を抱き込む姿も
可愛く思う
『そうだね、3回だね
願い事 何すんの?』
「…言ったら 叶わないじゃん…笑」
クスクス笑いながら 2人並んで
ベンチに座る
俺の願いは、大それたもんじゃなく
ただ、彼女の寝顔みたい くらい
だけど、深夜2時になっても流れ星なんて
そうそう流れなくて…
右肩に重みを感じて 不意に見ると
俺の肩に彼女がもたれかかって
眠ってるみたいだ
流れ星は見られなかったし
願い事も言えなかったけど、
俺の願いは 叶ったからヨシとするかな
#流れ星に願いを
『恋愛にルールなんかないだろ
たとえ 兄貴の彼女でも
俺にだってチャンスはあるはずだろ?』
毎日の様に、俺ん家で朝から晩まで
つるんでいる悪友に問いかける
「兄貴の彼女って
確かお前より、5つは年上だろ?」
兄貴とは5つ離れてる
彼女と兄貴は大学の同級生だから
俺より5つは上になる
『そんなの、関係ねーよ
好きなんだからさ』
「…そうだよな 好きなら
歳の差なんて関係ないよな
あのさ…俺も 話したい事
あんだわ…気になる人がいるんだよね」
そう言いながら、ちょっと
照れくさそうに頭をポリポリとかく
こいつとは 保育園からの幼馴染
こいつから気になる人なんてフレーズ
初めて聞いた
「嘘だろ?!
お前が!!
誰だよ 俺の知ってる人??」
すると、幼馴染は急に正座をし
姿勢を正して言った
『うん。
お前の… かーちゃん。。』
「え? 嘘だろ?
俺のかーちゃんって…」
『恋愛にルールはないよな?』
#ルール
フラれた…
久しぶりだ この感じ
付き合って3年 お互い酸いも甘いも
噛み分けてて 今更 こんな理由で?って 理由でフラれた
「俺にはお前は勿体無い
お前にはもっといい男が他にいる」
何それ?
勿体無いって どう言う事?
自分には、勿体無いと思えるくらい
価値があるもの 自分から手放すの?
私に似合ういい男って どんな人?
まぁ、確かにこんなフリ方する男は
いい男だとは思えないけどね
朝起きて 朝ごはん食べても味がなくて
外に出ても 色がくすんで見える
外は今日も晴れ 雲ひとつない青空
私の今日の心模様と正反対
本当に俺よりいい男掴んだんだなって
言わせてやりたい
けど… まだ まだ無理そう
3年の思い出が足を引っ張る
いつまでこんな感じが続くかな…
早く この空みたいに
私の 心もスッキリすればいいのになぁ
#今日の心模様
たとえ間違いだったとしても
かまわないから 手をあげなさい
答えがあってようが 間違えていようが
勇気を持って手を挙げたって事が
大事なんだぞ
教壇の前で 教師が生徒に問いかけるが
誰も手をあげない
顔を上げず目線さえ合わせようとしない
これくらいの問題ならば
余裕で答えられるだろう?
先週やったばかりじゃないか…
どうした? ほら、西元
西元なら わかるだろ
え、ノート忘れた?
ノート見なきゃお前はわからないのか?
お母さんに電話したから
1時間待ってくれ?
おいおい たった1問の問題に
お前のお母さん待ちかよ…笑
じゃぁ佐藤は? 佐藤はどうだ
え? 佐藤は先週休んでた?
そうか… そうだったな
確か インフルエンザだったか…
もう大丈夫か?
あぁ 妹にうつしたら治った?
家族病気あるあるだな…笑
そしたら、、坂上は?
坂上は先週来てたし お前はノート持ってきてるだろ?
置き勉するやつだしな
置き勉はダメだって言うのに
ほら 簡単な問題だし わかるだろ?
え、俺の授業は毎回寝てるから
置き勉関係なくノートとってない?
おい〜勘弁してくれよ〜
あ、どうした 加藤!!
勇気を持って手をあげてくれたのか?!
先生は、嬉しいぞ
答え わかったのか?
え、西元のお母さんが来たみたいだって?
1時間かかって
やっと 手を挙げて教えてくれたのは
西元のお母さんが来たって
事だけだったな…
#たとえ間違いだったとしても
ポタっポタっと雫が音を立てている
風呂場の蛇口から雫が滴り落ちる
曇りガラスを拭いても 拭いても
私の顔が映るガラスはすぐに
曇ってしまう
"化粧もしない
一日中パジャマでさ…
お前みたいなだらしない女
いらないから"
半年前、旦那にそう言われ
離婚された
…この半年、毎日 旦那の後を
つけてみたが、特に女がいる
気配はなかった
化粧をして、旦那が好きそうな
服を着て そうすればきっと
また、私を気に入ってくれる
まだ乾かし足りない髪から雫が落ちる
携帯電話を見ると 旦那から
LINEが入っていた
【俺につきまとってるの、お前だろ?
警察に被害届出したから
やめてくれ 本当、迷惑な女】
心のツボに溜まった 雫が
満タンになって溢れでる
【 LINEありがとう
すごく嬉しい… ずーっと電話も
LINEも返事がなかったから
心配だったの
誰かにつきまとわれてるの?
大丈夫? 心配
すごく心配… 心配すぎるから
いまから、行くね】
私は急いで
濡れた髪にドライヤーをかけた
#雫