お題【お金より大事なもの】
「…燃やしてんの?」
「だってもういらないでしょ」
「法に触れてるけど……、まぁ人権ないから関係ないか。」
彼女は今紙幣を燃やしている。タバコを吸うために持っているライターでジリジリと焼いている。
「そんなことよりみんなは?」
「上に行ったよ、」
「君もさっさと上に行って、無事に着いたら連絡して」
彼女は紙幣を持った手の小指で上を指す。上には魚が泳いでいる。水面ははるか空だ。太陽が出ているため、ゆらゆらと流れが見える。
お題【ひなまつり】
「3月3日だよ〜誕生日前日だよ〜」
「お前の誕生日よりひなまつりの方が有名だよ」
「祝ってよ」
彼女は俺に誕生日アピールしてくる。俺は今なんとなくちらし寿司を作っている。
「ケーキ!ケーキ!」
「お前食べれないだろ」
「はーん?食べれるが?」
「じゃあ近所の凛ちゃんが働いてるところのケーキ屋で買ってくるわ」
「お前凛ちゃんがそこで働いてるの知ってたのかよ」
「何年生きてると思ってんだ」
「2万年」
「正解」
こうして毎年祝っていると疲れるものだ。
お題【たった1つの希望】
今日もまた目が覚めた。彼に私はとある質問する。
「おはよう、寿命どうなってる?」
「おはよ、増えてるよ」
「そっか」
私は寿命が減るのではなく増えていってるらしい。だが、見える人にはそれが表示はされているのだ。寿命が無限にある種族には、寿命の表記なんてなければ、そんな項目すらない。
「お前はどうなんだ?」
「見たくないよ、自分の寿命は」
「見れるんだ?」
「一応ね。高校生の時、1回見てみたけど意外と短いなって思った。」
彼は人間だ。寿命が見えてもただの人間なのだ。
「寿命、減るといいね」
「そうだね」
お題【Kiss】
「…なに。」
「なんにも。」
顔を近づけてきた彼は言う。彼はここ数年、いや数百年一緒に住んでいる高校の先輩だ。私は彼に気はない。彼は…、
「また首に傷跡あるぞ。」
「知ってるよ。死のうと思ったんだよ。」
「死ぬなよ、」
彼は私の首の傷跡を指摘した。もう遠慮はなくなった。彼は止めるけど、私はやめない。
「…ちょっと外出てくるね。佐和さんのところ行ってくる。君も例の町に行きなよ。一応町長だろ。」
「飽きたからいやだ。」
「あっそ」
私は彼に背を向けた。すぐ後ろに立ったのが分かる。
「やめてくれるかな?」
「…俺、」
「知ってるからやめてくれるかな?」
彼は黙った。
お題【行かないでと、願ったのに】
彼女は未だそこには戻ってこない。散り散りになったこのグループは彼女が戻ってくることによって、また結成されるのだろうか。
「お前はここに残んの?」
身支度をする彼が言った。彼がいちばん彼女を愛していたはずだ。残ると思っていた。俺と同じようにここに縋ると思っていたのに。
「まぁな、お前は?」
俺は微塵もあるはずのない希望を持って聞いた。案の定な答えしか返ってこないのだろうに。