10終わらせないで
共依存的な敬愛を貢がれる器、ガワがよかったのだが
中身が耐えられなかった、そんな中倒れて辞めざる負えなくなってしまう
この状況で言われるのが終わらせないでなんて無責任な言葉
たとえ本心から言っている人が居たとしても雑踏のように
見えなくなってしまう届かない言葉に意味なんてなかった
9愛情
とても苦しくて、とても辛くて、でも愛されてると思ってるから
今日も生きてる
8微熱
体がだるく熱をもち力が入らない
そんな状態で考えることなんてろくなことがない
浮かび上がるのは辛い記憶ばかり
何か楽しいことを考えようとしても
それを塗り潰さんばかりに嫌なことしか思い出せない
そんな中ただ意識があることに違和感がある気がして
意識を落としてただ待つばかり
7セーター
秋から冬にかけて寒がりな私はよくセーターを着ている
けど、布団や炬燵、暖房等をつけ始めたり、使い始めると
すぐ着なくなってしまう
1人が思いを込めて作る手縫いのセーターも
機械が作るセーターもきっと同じ
少しの時間しか使われないんだろうなぁ
6落ちていく
意識が遠のき闇の中に落ちていく感覚に呑まれた。そんな中、小さな鯨が
自分たちの町を呑み込む様を見ていることしか出来なかった。周りでは町
の人たちが叫んでいた。町は煙に覆われ、真っ黒になり、赫で所々が染ま
り、日常は一瞬で壊れてしまった。
夢を見てるかのようだった。そんなことが、起こっているはずがないと目
を逸らした。でも、周りから聞こえる。聞こえてしまう。
けたたましく響くサイレンの音と、叫ぶ人々の声、泣いて縋る祈りも意味
をなさずに『者』が『モノ』に変わっていく音さえも、ここが現実だと示
している。そんなことを考える間もなく、私は逃げることしか出来なかっ
た。ただそれでも、生きていたいたとえ周りの人がみんな居なくなってし
まっても、私だけでも生きていたいそんな胸中でただひたすらに鯨から逃
げ続ける。振り返ることは出来なかった。振り返ってしまったら足を止め
てしまいそうだから。ごめんなさい。
私は生きる決意だけを持って町から逃げた。