6落ちていく
意識が遠のき闇の中に落ちていく感覚に呑まれた。そんな中、小さな鯨が
自分たちの町を呑み込む様を見ていることしか出来なかった。周りでは町
の人たちが叫んでいた。町は煙に覆われ、真っ黒になり、赫で所々が染ま
り、日常は一瞬で壊れてしまった。
夢を見てるかのようだった。そんなことが、起こっているはずがないと目
を逸らした。でも、周りから聞こえる。聞こえてしまう。
けたたましく響くサイレンの音と、叫ぶ人々の声、泣いて縋る祈りも意味
をなさずに『者』が『モノ』に変わっていく音さえも、ここが現実だと示
している。そんなことを考える間もなく、私は逃げることしか出来なかっ
た。ただそれでも、生きていたいたとえ周りの人がみんな居なくなってし
まっても、私だけでも生きていたいそんな胸中でただひたすらに鯨から逃
げ続ける。振り返ることは出来なかった。振り返ってしまったら足を止め
てしまいそうだから。ごめんなさい。
私は生きる決意だけを持って町から逃げた。
5夫婦
きっといつかはなれればいいのだろうか
そんな風に思えたらいいのだろうか
見つけれるのだろうかそんな人を
きっと無理だと諦めていたいそんな概念
4どうすればいいの?
生きることも言うことも思うこと信じることも権利を有さねば出来ない
そんな世の中での一言
3宝物
ないものねだりはやめなよと自分に言い聞かせてた
見えないものに覆い隠され在るはずなのに分からない
そんな世界に僕は1人だけど上位がよっぽど出回ってる
2キャンドル
灯が点いた蝋燭を見つめていたら、ふとした拍子に吸い込まれた
ただ火が点っているいるだけなのに、それに釘付けになった
そんな小さな灯にさえも、魅入られたら戻れない
だけど、小さな蝋燭には時間がない
魅入った者にはそれ以外のことは関係ない
火に魅入られた者にはもっと大きな炎が必要だ
もっとよく燃える"モノ"と大きな、とても大きな" "が