きっと忘れない
そんなの嘘だ。忘れない自信が無いから『きっと』なんて言うんでしょう?
聞いたことがある人もいると思う。
愛する人を忘れていく過程。
初めに声を、
次に顔を、
最後に思い出を――。
あなたは、愛する人の笑い声、可愛らしい照れた顔、怒った顔、泣いた顔。何気なくふざけ合ったあの日の思い出を生涯、死ぬまで忘れない?
私は、忘れてしまうと思う。でも、忘れたくないから、『忘れない』。そう、自分に言い聞かせる。
それが、まるで自分を守る呪文かのように―。
なぜ泣くの?と聞かれたら
ねぇ、そんな馬鹿げた質問しないで。
だってこんなに頑張っても、苦しくても我慢して、ボロボロになるくらいに頑張っても。
誰も私の頑張りを見てくれないし、認めてくれない
『頑張ってるね。』『偉いね。』『もう十分だよ』
そんな一言が欲しいだけなのに。
―もう、疲れたんだよ
お願いだから、あなたは。そんなことを言わないで
足音
最近、懐かしい夢を見る。
いなくなってしまった父さん母さんと、大好きなペットのメロンさんとご飯を食べてる夢。
最近、母さんの声が聞こえる。
『頑張ってるね。』とか『愛してるよ。』とか。
その声色がとても優しくて涙が止まらない。
最近、私の病室でメロンさんが元気に走り回ってる
そんなはずはないのに。確かにそこにいる。
あぁ、もうそろそろだ。そう感じる。
死の足音が私にどんどん近づいてくる。
でも怖くないよ。だって今まで幸せだったから。
そう、今日も自分に言い聞かせる。
遠くの空へ
よく私は、残酷で綺麗な夜空を見上げる。
―あぁ、星になりたい。
そう思いながら。ありえない話だってわかってる。
でもね、よく母さんが言ってたんだ。
『死んだら皆、星になるんだよ』って。
私は今日も、美しく斑に輝く空を見上げる。
手をどれだけ伸ばしても届くことはない。遠くの空へ思いを馳せながら。
『!マークじゃ足りない感情』
少し前、祖父が死んだ。病死だった。
―棺桶の中に眠っている彼は、綺麗で、安らかな顔をして眠っていた。
でも、チラリと見える腕や、首、化粧で隠されたその肌は明らかに青白くて昔よりも痩せているの。
初めて最愛の祖父の遺体を見た時の衝撃。それは絶対に誰にも伝わりやしないし、言葉なんかで言い表せない。
ましてや、『!』なんかつけてたところで―。
「病気がわかってまだ1年も経ってないじゃん」
「大丈夫だって言って笑ってたじゃん」
この文章に、『!』をつけたところで私の想いが伝わりますか?