『森まで行かない』
このまま歩いて　街から離れると　寂しさで　ランプが霞む　冒険心は大きく小さい　カマキリの挑発に足をすくめた　君はきっと　森まで行かない　夕闇よりもコーンブレッド　戸惑いよりも　厚いバスタオルを

　　　　　　　　　『抜糸』
疲労した気持ちが　溜まっている　いつかさらけ出さなきゃ　羽根などないのに　飛ぶつもり　生きることは助走であった　湿地に花が咲いた　その丁寧さで
糸を抜いて　

　　　　　　　　『落ち葉の道』
落ち葉の道を歩いた　先週と同じように　土曜日の朝日眩しいね　ロールパンほおばって　約束の時間に間に合うように　早足で歩いた　落ち葉が音をたてる
せっかちなバイオリニストが足元にいるような気がした

　　　　　　　『あなたの鍵隠し』
あなたのドアが開かなくて　わたしは部屋に入れない
距離を置くのは大事なことだ　今のままだとふたりは
熱で溶けそうだ　融解して分かり合えるかどうなのか
人間の不思議に立ちあってみる　考える考える　深掘りしすぎて　エヴァに出会った　私たちはただ笑うしかなかった

　　　　　　　　『ロスタイム』
夕方5時過ぎ　時計の針に笑われた　大切なものが何か見失ってる　ダンジョンにいる時間が永いのだ　あの船に乗れば　気が楽になるのかな　それとも翼の生えた何かに跨って　雲を越えて行こうかな　多分、変わる　ほんの少しの気の持ちようで