『モリコーネが聴こえる』
角砂糖ゆれる　そのまま寝転がり　空を見上げた
愚痴をこぼせば　音楽と消える　そんな夜を探していた　頭の奥にベルの音　半分くらい眠ってた　名画とロッキンチェアー眠ってた

　　　　　　　　『白線の内側』
白線の内側に立ち　ここは安全地帯だと思い込んでいる　寝息をたてる束の間　酷いことが起こるかも　悍ましい想像をしているのは私だけかな？　小鳩が垣間見る　平和の裏側　無雑作に撒かれた豆を噛まずに飲み込んでしまった

　　　　　　　　『メルトダウン』
かがり火みつめて　ぼんやりと　あなたと二人　不都合な真実に目をつぶって　溶けてしまえば　もう何もいらないね　黄色がかった頬の色　疑問符はひとつもないよ　そう思いこんで　日常は続くのだから　そう思い込んで　

　　　　　　　　『栗鼠に告ぐ』
まあるい月を見れば　嬉しくなって　ただただはしゃぐよ　食糧が盗まれた朝に愕然と　友人の顔は黒く塗り潰され　もはや別人だ　浮き沈みが激しいね　暮らしていくって　そういう感じ　春先のコートを羽織ってしまった　もう冬が来るというのに

　　　　　　　　　『次の駅』
苦いコーヒーの余韻と　普段聴かないモダンジャズ
プラットフォームは色がない　誰も目立ちたくはないからだ　かく言う私もそうなのだ　たったいま　吐き捨てられたガムを踏み　何もなかったかのように黙ってた