『少女が夢みし』
夢が叶う一歩手前の風景はどんなものだろう
あまりにも未知数で目が眩む　光芒は絹の糸　かぎ針で綴る物語　いつかあなたに聴かせたい

　　　　　『旅行カバンに住んでいる』
紫に光る宝石は旅行カバンに住んでいる　鬼の居ぬ間に呼吸して　惰眠の後にチーズケーキを食べている
ファスナーが空いて　知らない土地だ　風を感じたり
生き物になった自分を想像する　それが私にとって何よりも価値のあるものなのだ

　　　　　　　　『水鏡は輝いて』
水たまりは晴れた朝に輝いて　逆立ちをする子犬を照らす　水彩画を描くおじさんが　カレーうどんを食べるとき　水たまりはすでに干上がっていた　きらきらときらきらと　粒たちが友達のように戯れあっている

　　　　　　　『恋の行く先』
恋の行く先　依存の洞穴　沼にはまって　口づけ交わす　快楽と倖せは似ているようで違うんだ　あなたが
いる洞窟は恋のどのへんなのだろう？

　　　　　　『正常な恋人なんて』
葡萄の房にぶら下がり　あたりを見回して　人混み交差点　恋人たちの正常値調べてみたら　どこかちょっと異常だね　日常に花が咲いたんだね　僕の庭では決して咲かない花が