『正常な恋人なんて』
葡萄の房にぶら下がり　あたりを見回して　人混み交差点　恋人たちの正常値調べてみたら　どこかちょっと異常だね　日常に花が咲いたんだね　僕の庭では決して咲かない花が

　　　　　　『秘密のアンブレラ』
傘の中に秘密を隠そう　パラソルじゃなくてアンブレラ　あの日のこと　君は覚えているかな　街が一瞬
静かになって　時が思わず止まったことを　時計も知らない　私たちだけの時間のことを

　　　　　　　　『雨上がる』
雨上がる　ぼんやりしてたら　水平線に蛙がひょっこりびっくりだ　買い物に行こう　パスタを作ろう　食卓を囲もう　こんな日々がずっと続きますようにって
憂う日もあるけれど

　　　　　　　　『ルーザー』
物事に勝敗などない　そんな潔い心　実は持ち合わせていなくって　溜め込んだ唾を飲み込み　唖然とした顔をする　交差点を行き来する人たち　その誰よりも負けている　下を見れば　食料を運ぶ蟻一匹　やはり僕は負けている

　　　　　　『布団が空を飛んだら』
毎日顔洗って眠るだけ　その間のことはまぁいいか
いずれにしろ単調な私の暮らし　フェアリーテイルになれなくて　散文というのもまた恥ずかしい　それでもたまに面白い夢をみるよ　布団が空を飛ぶのが当たり前な世界の夢を