『万華鏡』
時間に色をつけていく　極彩色　メロウとイエロウが同居する　一秒先と何万光年　指でつなげて　取り混ぜる　じっとそれを見ていたい　両親に肩を叩かれたことも忘れて　もうそこに誰もいないことも知らないで

　　　　　　　『シャンソン』
壁に張りついた　ねっとりと張りついた　趣味の悪いシャンソン　古めかしいポスター　夢を見ているなんて聞こえがいいね　渋谷の交差点から逃げてきただけ
誰も読まない詩に耽って　もっと深く逃げてしまおう

　　　　　　　　『花は還る』
畑があって　いつぞやなくなる　お家が建って　また消えて　畑がそこにあるんだよ　花のようなこの気持ち　養分不足で散ってしまう　花びらは言う　またどこかで　私は手を振る　そうだね　またどこかで　いつかきっと

　　　　　　　　『中央特快』
そういえばこの電車は中央特快　次の駅で乗り換えなくちゃ　電子広告に想いを馳せなきゃやってられない
ため息がおじさんの肩を掠めて　ウグイス鳴くよホーホケキョ　神様、ねぇ神様　この先に何があるんだろうね　次の電車に乗りかえるその時に　感情ひとつ
わざと忘れていきたいよ

　　　　　　　　　『快晴』
さばさばと　光サス　カーテンが誘う笑い声　明日の天気はどうでしょう　会話の種が芽吹いたら　きっと明日は快晴だ