『大人になれば』
果てない道　先を考えると嫌になるよ　敢えてバスで
膝を抱えて　景色を見れば　信玄餅が食べたくなった
大人になれば　何でも見える　そんな気がした

　　　　　　　『三日月と酒場』
三日月と酒場　それとカフェ　一人は笑う一人で笑う
口もとが月に似ている　船旅を終えた漁夫が言う
兎が憂う赤い目が憂う　半分に割れたレモンがピアニストを探してる

　　　　　　　『コーヒーカラー』
鳥たちのメヌエット　ブーツについた土を拭う
木漏れ日の下　コーヒーカラー　穏やかな日々が霞まないかと　少しの鬱屈　愛猫を撫でよう　音楽を聴こう　曇りガラスの汚れをとって　明後日の私になってみたい

　　　　　　　　　『感触』
綺麗だな素敵だなって戯れる　いつしかそれが恐怖に変わり　眠れない夜が続いてく　感覚の雪が降り積もる　触れても溶けない雪が降り積もる

　　　　　『キミの隣が空いている』
世界が荒んで乾いても　キミの隣が空いている　そこに座って　欠伸をひとつ　温かい温かい　世界をゼラチンにしてしまう　嘲笑する人も蛙にみえる　お花畑か水田か　何れにせよキミがいる