天坂えみる

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12/6/2023, 12:33:51 PM

         『反転』
鉄棒で逆上り そしたら景色が反転してさ 物の見方が変わったよ あんまり得意じゃないあの人に声をかけたら 思いのほか楽しかったよ おやつを食べる背徳感 それもありだと言い聞かせ 擦りむいた膝小僧を撫でてやろう

12/5/2023, 3:41:05 PM

       『数えきれない』
宝石が単なる石になる そもそも宝石も単なる石ころか? 宙に浮かぶあれこれを拾い集めて作った絨毯
空は飛べないけど 魔法はなんだか信じたい こんな夜に眠れない 吐いたため息数えきれない

12/4/2023, 12:27:07 PM

        『夜分遅く』
夜分遅く 錬金術は失敗に終わり 灰だけが宙に舞う
底なし沼にいるような はたまた感情の呻きを聴くような 夢と現実のラインが曖昧 怪物退治を志願して
朝の6時に目が冴える

12/3/2023, 10:28:43 AM

         『見送り』
駅も空港もバス停も 無言だから私が言おうさよならを 太陽が月が青空が泣いているなんて気のせいだ
ただ、手を振るだけ 見送りするだけ 代わりはすぐにやってくる 本気になったら枕がいくらあっても足りないからさ こうしてさよならが上手くなったふりをする

12/1/2023, 1:35:40 PM

        『私の足踏み』
何処か寂しい夜は 青信号を渡らずに褪せた煉瓦に見入ってしまう ひび割れが水路のようだ 煉瓦は物は言わないけれど 経年劣化が全てを語る 父の背中を知らない私には それが大きすぎて 包み込まれているようで 一切の距離感を振り払い 気持ちは煉瓦に同化していく 

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