『瞼』
目が覚めると 褐色の世界 本日は晴天らしい ところにより雷雨 雷のマークで目が冴える そっと朝顔が咲いていた おはようと言っている気がした 君は天気予報を見ないから 雷雨の予報を報せておこう
むず痒い瞼に目薬を 私は最近になってようやく朝が好きになってきた
『他人の顔』
群集の渦 他人の顔を借りて歩く 意味は後付け
果てる木乃伊 再生を繰り返す 風は強く 裸のままではいられない そう思い込んでいる そう思わされている 昨日の顔を忘れて 明後日の顔で歩く もはや自分は もはや人間は、、
『齧歯類と亀の街』
生きる速さが違うけど 僕らは同じ街の住人だ 土日祝日は実入りが良いから 綺麗な服を着ていよう 今日のニュースは知らないけれど 別段変わりなく暮らしていける 知識がいらなくなったのはいつの日か
おつきさまがまあるい日にはたまにそういうことも考える 晴れた朝 遅い朝食をとっている 警告音を知らない吟遊詩人の命が危うい
『天の川』
空の上では有名な恋物語 私はお風呂の後にドラマの
配信11話を観るのだ ビールもあるおつまみもある 只、手作りのアヒージョはちょっぴり脂っこくて 人の恋を俯瞰していることが、烏滸がましく感じた 空の上の恋はどうなのだろう? それでもまだ想いを馳せる 恋とは不思議なもので色彩豊かな風船たちが胸の中でぷっくらと膨らんでいる 1番気になるのは自分のことか 結局、そんなものなんだろな 浮かび上がる 膨れ上がる 想い想い
『徐行運転』
徐行運転はノスタルジーだ ぼやけた頭 少しの眩暈
僕は今泣いてるんだろうか 上水路にあの日の友達
影になった思い出はなんだかはしゃいでいるようだ
ありったけのコインは偽物だけど たった1枚の百円玉は本物だ ペットボトル 炭酸飲料を分けあって 冒険に出かけたんだな 見通しの悪い交差点 青信号が僕を囃し立てている