『鉄橋』
途中下車 プラムを齧り 道を行く オロナミンCの看板ひしゃげる トタン屋根にはお決まりの猫の昼寝
土手まで歩く一人きり 鉄橋を列車がいくよ 『おーい』と手を振り 落としたプラム すかさず鳶が盗ってった 葦が揺れる 風に揺れる 橋の下 また一人 時計を持たぬ旅人が少憩している
『歩いて5分』
無条件に汗を呼ぶ まだ家から歩いて5分 煮える身体にそよ風吹くと 夏の匂いに痺れてしまう 幾多の思い出も連れ立ってやってくる にくい風だ 自転車 花火 大混雑 海に飛び込み もう一度 自転車。。
目的を一瞬忘れる 夏の匂いの不思議な力
『窓枠』
窓枠は切り抜き名人だ 朝も昼も星降る夜も 名画のように私に映す 素敵だなぁって思って じっと観る
時には時間も忘れてね ある日、嫌な事があって窓枠を観ることがなくなった 正確に言うと見えなくなった そこには朝と昼とただの夜 大まかな時間を示す
ただの景色、ただの窓枠
『運命』
運命が見えない糸を吐き出して ドリームキャッチャーができた 過去は過去 価値なるものに 未来、そうだ未来 触れるために向かうもの 白い部屋に無数のドア 迷ってる暇は無い だってお腹が空いている
白い部屋を染め上げる絵の具が欲しい
『午後二時過ぎ』
昼下がり 休憩が終わる 空に積雲 雨が降りそうだ
やがて雨降り 雨宿りの列に並ぶ 上も下もない 右も左もない そんな列に並ぶ 私は昼食のラーメンについ入れてしまったにんにくのかけらの匂いに後悔しながら列の中ほどにいる 自分が思ってるほど他人は
周りの事を気にしていない スマートフォンがそれに一役買っている 午後二時過ぎになるようだ 雨が止めば 雨宿りも終わる 列に並んだ人々と再び会うことはないだろう 空では積雲たちが背比べ 再び晴天になるだろう