『運命』
運命が見えない糸を吐き出して ドリームキャッチャーができた 過去は過去 価値なるものに 未来、そうだ未来 触れるために向かうもの 白い部屋に無数のドア 迷ってる暇は無い だってお腹が空いている
白い部屋を染め上げる絵の具が欲しい
『午後二時過ぎ』
昼下がり 休憩が終わる 空に積雲 雨が降りそうだ
やがて雨降り 雨宿りの列に並ぶ 上も下もない 右も左もない そんな列に並ぶ 私は昼食のラーメンについ入れてしまったにんにくのかけらの匂いに後悔しながら列の中ほどにいる 自分が思ってるほど他人は
周りの事を気にしていない スマートフォンがそれに一役買っている 午後二時過ぎになるようだ 雨が止めば 雨宿りも終わる 列に並んだ人々と再び会うことはないだろう 空では積雲たちが背比べ 再び晴天になるだろう
『夏の副作用』
冷房の効いた部屋の中 夏とは何か考える 答えは勿論無いけれど ほんの少し偉くなった気がして バーボンのように呑む麦茶 配信のアニメを二話分観る
突然、熱を帯びる身体 ここは赤道直下か? 否、恐らくこれは夏の副作用だ 夏について思い回す私の中にとうとう夏が入ってきてしまった
『逃避行』
あの遠雷が聞こえたら こっそり此処を抜け出そう
誰も気づいてないけれど 此処は闇に包まれる ひっそりと侵蝕するように インドの雄牛がその名のとおり通路を牛耳っている 廻り道を繰り返す まるで巣のない蜜蜂のように とんだ間違えかもしれないけれど 僕たちは生きている 着せられた汚名を脱いで
裸のまま生きている
『最終回』
別れの朝の静けさは 準急列車の自責の念だ あの時
あの場所に停まっていればと月並みな後悔に苛まれる
これは何度目の最終回? 終わり終わりと釘打って
アルコールに頼ったり ロバの耳と叫んだり 揺れに揺れる忘却線 私がまた朝一番の他愛のない欠伸に出会うまで そう時間はかからなかった