6/8/2023, 11:53:58 PM
『三叉路』
四辻には悪魔がいると皆が言う 三叉路には何がいる? ナイフを持った少年がいる カレーパンを持った僕がいる ナイフとカレーパンは対話する しゃがみ込んで対話する 僕らは全て投げ捨てて 紙風船になっていた 尊いという言葉で片付けないで 地べたの感触はもう嫌なんだ
6/8/2023, 12:02:41 AM
『ほろ苦い』
焦げたトースト ママレード 一口齧ってほろ苦い
もう君ともお別れなんだな 他愛のない朝食 美化するわけじゃないけれど 雨上がりの朝 蝶々は飛び立つのに気苦労してる 私は終末感ってやつに酔っているだけ きっとなぞり書きの明日もそつなくこなすだろう そうきっと
6/7/2023, 12:01:46 AM
『ウォルターの冗談話』
昨晩のホラー映画の余韻が残る朝 意味もなく鳥肌をたてている 洗濯機が嘲笑う 不吉な予感だ 怯えるほど空が蒼い それは晴天だ ハンケチが仄かに赤い
それはケチャップだ 雨は降らない 降るのは鳥の糞
じつに華麗にそれをかわして 踏んづけたのは犬の糞
太陽は笑ってる 私もそうだ笑うしかない
6/6/2023, 12:11:07 AM
『黙秘』
道端で蹲るあの子はもういない あの子と私は点と点のまま繋がらなかった 物思うまるで海面に浮かぶように この秘め事は海月の一刺し 烈しく胸が疼いている 感情に薬餌は無い 只、日々に溶かし込んで希薄になるのを待っている
6/5/2023, 12:00:09 AM
『カプセル』
東京がカプセルに包まれる 無論、私もその中で呼吸をしながら過ごしている 守られているのか管理されているのか カプセルのカプセルの中のカプセルで薬効を待っている 焦る時間に何が効く?忘却線は発色してアーチになった 幾多の見物人のスマートフォンに新たなカプセルが保存され消費されていく