『自宅待機』
夜が深く地中に潜り込む 静寂の中、救急車が疾走する 外では何が起こってるんだろう?買いだめしたお菓子を貪る自分が一瞬情けなくなる 君が帰ってきた
穏やかな表情でまた手にお菓子を抱えている さすがにこんなに食べきれないよ 明日になったらまた食べよう、、そうか、僕は無意識のうちに明日が来ると、、それが当然のことだって、、
『少年期のぱれえど』
ライ麦畑に行きたいと 飛び降りたブランコは 黄色い塗装が剥げかけたオンボロだ 遊びは仕事と言い聞かせ 門限ギリギリの綱渡り ポッケの中のサラダせんべい もうとっくに粉々だ 膝小僧に沁みる傷
痛みはいつも後からで 夢中の時は気づかない
叱られたってなんだって ぱれえどはまだ続いてく
『プライマル』
愛に逃げて溺れて自惚れて 終いには慟哭 他人の泪でできた沼 独りよがりで毒の沼 初期設定なんて完全に忘れて今ではすっかり化石だよ 物好きな地質学者が『愛の叫びを発掘した‼︎』と驚嘆の声をあげる
自家用のUFOはバッテリーが切れそうだ 草臥れて銀河の帰路につく
『キャベツ畑の幽霊』
キャベツ畑 広がる翠緑の中 幽霊を見た気がした
飴色のタクシーは農道で停まったままだ 何処へ向かう?何処へ帰る? 感受性のさもしさは大問題で私のノートが埋まらない せめて呼吸よ止まるな 意識はいい呼吸よ止まるな
『裸婦』
この部屋は空虚だ 部屋の外も退屈で身体はもはや半透明 透明なのに重いんだ 思い出を引きずっているからね 忘れることを忘れた頭は丁度、北南を向いて
ラズベリーパイを食べている こうなれば部屋の外にふわりと飛び出す プチ家出というやつだ。二日と少しで自宅に帰る 結局、空虚が好きなのだ。付けたままの換気扇の旋律に身を委ね、またその時を待つ