天坂えみる

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5/10/2023, 3:15:23 PM

      『キャベツ畑の幽霊』
キャベツ畑 広がる翠緑の中 幽霊を見た気がした
飴色のタクシーは農道で停まったままだ 何処へ向かう?何処へ帰る? 感受性のさもしさは大問題で私のノートが埋まらない せめて呼吸よ止まるな 意識はいい呼吸よ止まるな

5/10/2023, 12:05:24 AM

          『裸婦』
この部屋は空虚だ 部屋の外も退屈で身体はもはや半透明 透明なのに重いんだ 思い出を引きずっているからね 忘れることを忘れた頭は丁度、北南を向いて
ラズベリーパイを食べている こうなれば部屋の外にふわりと飛び出す プチ家出というやつだ。二日と少しで自宅に帰る 結局、空虚が好きなのだ。付けたままの換気扇の旋律に身を委ね、またその時を待つ

5/8/2023, 3:08:57 PM

         『時間結び』
時間と時間を結んでく 明日と今日を紡いでく ひと月過ぎて またひと月過ぎて 半年経って振り返る
始まりの時計台はもう見えない だけども糸は繋がっている 『一年後が楽しみだ』時間結びの旅人はそう呟いて、針穴に目を凝らす

5/7/2023, 4:06:14 PM

        『初恋の日』
微熱のためか、ぼんやりしていた 暗室になった体育館 スクリーンに映るのはジブリ映画か 薄目を開けて眺めていると 物語を超えて その色調に溶け込んでいくようだった 無論、私は早退を余儀無くされた
後日、予想だにしない子が私の事を心配してくれていたことを知った。それだけで、いつもと変わらぬ日々
ただ、ほんの少しあの子の事を考える時間が増えていた

5/6/2023, 3:56:57 PM

         『明日』
明日世界が終わるというのに 沸騰するやかんにあたふたしている ちょっぴりひしゃげたチリトリも買い替えるかどうか迷っている さほど面識のない近所の人に『また明日』と声をかけている 少し余ったカレールー、カレードリアにアレンジしようと思いつく
このエプロン、洗おうかと思い、洗濯カゴの前で思い留まる そうだね、明日世界が終わるというのに

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