『お花畑で何が悪い』
真夜中のバスケットコート サイダーの空き缶きらきらしてる 星座が見えにくい空の下 青い春を満喫している 悩みの種無いわけじゃないよ でもそれよりももっと 将来の憂い無いわけじゃないよ でも不安よりももっと 心は丁寧に取り分けられたチーズケーキだ あなたが思うよりもちゃんと大事なことを知ってるよ 小さな星の微笑み返し 煌めく朝は誰のもとにも
『ちいさなカバン』
小さなカバンに大切なものを詰めて 歩く歩く
揺れるとカラカラ苺の飴玉パイン飴仲良く頭をごっつんこ モンキチョウがやってきて 暖かさを報せてくれた 春なんだ春なんだな 背中がくすぐったい春が来たんだな
『海鳴りと四月の嘘』
嘘をついてもいい日に可愛い嘘が浮かんでは消えていく ついちゃいけない嘘は川原に流したはずなのに
日ごとにチクチク私の心を詰っていく 本当の嘘は私の海に帰ってくるよ プラスチックの水母みたいに浮いては消えて 仄かな毒で紅くなる 遠くに聴こえる
海鳴で眠れないんだ 今日も明日も
『祝福』
祝福ムード 場末の立て看板のように嘘っぽくわざと
らしい 私は酒の肴にすぎないよ 『ありがとう』と
はにかむと酒瓶が一つ宙に浮く 私はその酒瓶の宿主となり 残りの30分は皆んなに祝福を配ろう 心血注いだ笑顔と握手 そこに残ったのは いやにじめつく手のひらと窶れていく私の体
『離陸』
何気なく立ち読みしてる雑誌の内容 記憶にないな
時間を潰してるだけだから 君に優しくできたらいいなぁと思って カスタードたっぷりのシュークリームを選んでる 地元では結構評判のいいお店だよ
小さなカフェスペースもあるんだよ 今度どうかな?
一緒にどうかな? 思ってるだけじゃ何も変わらなくて 感情だけが離陸していく あーあ行っちゃったな
雲に紛れてもうどこだかわからないよ 悲しくなりたくなくて またコンビニで立ち読みしてる 何気なく
ただ何気なく 傷つくのが嫌なだけなんだ