『海鳴りと四月の嘘』
嘘をついてもいい日に可愛い嘘が浮かんでは消えていく ついちゃいけない嘘は川原に流したはずなのに
日ごとにチクチク私の心を詰っていく 本当の嘘は私の海に帰ってくるよ プラスチックの水母みたいに浮いては消えて 仄かな毒で紅くなる 遠くに聴こえる
海鳴で眠れないんだ 今日も明日も
『祝福』
祝福ムード 場末の立て看板のように嘘っぽくわざと
らしい 私は酒の肴にすぎないよ 『ありがとう』と
はにかむと酒瓶が一つ宙に浮く 私はその酒瓶の宿主となり 残りの30分は皆んなに祝福を配ろう 心血注いだ笑顔と握手 そこに残ったのは いやにじめつく手のひらと窶れていく私の体
『離陸』
何気なく立ち読みしてる雑誌の内容 記憶にないな
時間を潰してるだけだから 君に優しくできたらいいなぁと思って カスタードたっぷりのシュークリームを選んでる 地元では結構評判のいいお店だよ
小さなカフェスペースもあるんだよ 今度どうかな?
一緒にどうかな? 思ってるだけじゃ何も変わらなくて 感情だけが離陸していく あーあ行っちゃったな
雲に紛れてもうどこだかわからないよ 悲しくなりたくなくて またコンビニで立ち読みしてる 何気なく
ただ何気なく 傷つくのが嫌なだけなんだ
『花花半被』
しわあせなのはとてもいいことです セロトニン過多
ぼーってしてしまう 秋の白昼。。でなかった!今は春の真っ最中! ど真中ストレートっていうやつだ
そういえば桜が咲いている 屋根の上からひとつの風景を見ているのも好きだけど ゆっくり歩いて風景を拾いあつめる時が私は一番好きなんだ
『あの詩人』
逆さの蝙蝠傘のような心持ち 生春巻を食べながら
あの詩人の詩を思い浮かべる 誰もが詩人であるけれど あの詩人はやはり良い なんか良い 私の心に挨拶もなしに上がりこんできたのに 嫌な感じがしない
許してしまって良いのだろうか ひと言忠告すべきだろうか 私の道徳心が天秤でシーソーを始めたようだ