2/21/2023, 11:57:44 AM
『絶無』
薬指を濡らして考える 私は入れ物だったのか
古書の匂いで頭が揺れる 額は奴等の窓口で
所謂、移民が始まるらしい 私はもうじき空っぽで
記憶を全てなくすだろう 空の存在 あの青い空の存在 雲の名前 あの白い雲の名前 これを終わりと呼ぶのか始まりと呼ぶのかわからないほど眠くなる
2/20/2023, 12:21:06 PM
『余地は無い』
町工場に被害者の列 それを嘲笑する鴉の群れ
道を誤ってしまったのだろうか それとも考えが甘かった? 全て自分のせいなのだろうか? 好ましくない夕暮れにまたしても鴉は鳴いて カァカァカァ、、
中途半端に寄り添って 共感ならしたフリだ
つまらない小説くらい同情の余地は無い
2/19/2023, 12:08:54 PM
『枯葉踏み』
ピアノの鍵盤を弾くように 枯葉が積もった道をいく
スタッカートで跳ねる少女は 髪のリボンが解けてる
澄んだ笑顔に微かな汗が光ってる 春を待ちかねる草ぐさが踊る少女に拍手喝采 春はもうじき枯葉は土へ
2/18/2023, 12:20:33 PM
『一日のおわり』
足や手にもちろん首にも労いの言葉をかけてあげよう
私が眠りに落ちたとき 小人が遊びにやってきて
ホットミルクをねだるのだ 小人に耳を引っ張られ
寝返りを三度する 闇夜と月が遊ぶとき 小人もすっかり眠ってる 一日がおわる 明日がはじまる
2/17/2023, 6:34:14 PM
『私のお気に入り』
夜風がひとり時間の邪魔をする サマセットモームは未だ読みかけ 瞼は重力に逆らえない とじてしまえば そこでおしまい 今日の私が消えてゆく
ベッドにはクマ ぬいぐるみのクマがいる その子をぎゅっと抱きしめて 真綿にそっと寄り添うと
日々の憂いも喜びも 私の中にすうっと溶け込む
今日よさよなら 私は今から明日に変わる