毎日の
貴方の声に
お返事をする
この
60秒だけ
――――――――
(失われた時間)
結局のところ
僕らは
恋の真似事を
していただけ
――――――――
(子供のままで)
気晴らしで買った コンデジは
何も考えなくて良いの 便利ね
シャッターチャンス 言われて
ハッとして構えても 撮れない
私が卵のように温めてきた熱は
わかりきった無精卵でお留守番
貴方の笑顔 少し身長が浮いた
粋なお食事 素敵なアトリウム
他にも色々撮ったと思うけれど
何一つ新しい事なんて覚えない
私は冷静 このぐるぐるは冷静
ただ 喉だけが私を焼いていく
人生で一番 祝い祝った
君になって 笑い貼って
家になんか帰りたくない
人生で一番 無力だった
袖を振って 笑い合って
行きたい場所は行けない
人生で一番 君になった
円卓越しに モノクロで
卵と寝るのは 今夜まで
―――――――
(愛を叫ぶ。)
甘い蜜をちょうだい
あなたは何を望むの
軽い振舞いがお好き
それとも透き通る肌
甘くない蜜でもいい
抱きしめたいのなら
折れないようにして
でもきっとあなたも
そう
もっと近くで眺めて
知っているんだから
あなたは後悔するの
私に口づけできない
私にもっと近づいて
あなたは後悔するの
これに口づけなんて
あなたは後悔するの
熱い胸に釘を刺して
―――――――――
(モンシロチョウ)
貴方に恋した日なんかもう
覚えているわけないけれど
わたし 決めたの
毎月ね
毎月かならず この日だけ
朝には お風呂を掃除して
昼には 貴方だけを考える
貴方の好きそうな服を着て
貴方の好む 薄めの化粧で
一日ずっと イヤミもなく
腹を立てずに
機嫌良くね
夜には 二人の好物が夕餉
食後は のんびりしてから
お湯に浸かって 自己採点
今日を終える最後の最後に
貴方に恋した日々なんかを
想い出し笑い
また来月ね
貴方の隣りで眠りに落ちる
貴方の香の 煙を見ながら
――――――
(初恋の日)