【鐘の音】
ゴーン
ゴーン
耳が痛くなりそうな程
冷たい静寂に支配された聖堂の奥。
厳かに、その鐘の音は鳴り響いた。
まるでそれを待っていたかのように現れ、
次々と踊るように舞う無数の影。
鐘の音が消え、再び訪れる静寂。
月明かりすらもない幽暗の中、
音も言葉もない影たちの舞踏は続く。
次の鐘の音が響くまで。
【つまらないことでも】
つまらないことでも
ちゃんと話を聞いてあげれば良かった
つまらないことでも
もっと楽しむ気持ちを大切にしたら良かった
つまらないことでも
『ありがとう』をもっと沢山言えば良かった
どんな小さなつまらないことも
君と一緒にする事は
もう永遠に出来ないのだから
【ふたりぼっち】
灯りの消えた街
聴こえるのは遠く風と波の音
瞬く星明かりの下に
君とふたりぼっち
生命の音が途絶えた世界
残された君との時間はあとどれくらいだろう
君を見送るのと
君に見送られるのと
どちらが辛いだろう
出来ることなら
最期は君と一緒に迎えたい
そう願いながら
残された力で君の手を握りしめていた
『安心と不安』
光があるから世界が照らされる
心許せる人が居るから前を向ける
夢があるから1歩踏み出すことが出来る
大切なものがあるから生きられる
そんな単純な仕組みなんだ
僕たちの毎日は
光がなければ世界は闇に沈む
心許せる人が居なければうつむいてしまう
夢がなければ立ち止まってしまう
大切なものがなければ心は死んでしまう
そんな不安定な生き物なんだ
僕たち人間は
『こんな夢を見た』
夢を見た
遠く儚いあの日の光景
すべてが優しく、温かかった日々の夢
夢をみた
今はまだ遠い別離の光景
いつか、きみが居なくなってしまう夢
隣にいることも
声を聴くことも
手を繋ぐことも
当たり前のようにそこに居るきみも
いつかは時と共に溶けて消える夢
微睡みのようなこの日々を
日だまりのようなこの温もりを
いつか訪れるその日まで
大切に慈しもう