「転校しても、ずっと友だちだからね」
毎日のように一緒に登下校し、毎日のように放課後一緒に遊び、毎日のように大好きだった。
ずっと友だち、ね。親友くらいにはなれていたと思っていたのに、僕だけだったのだなと泣いてしまったのを覚えている。
にしても、彼女がどこに行ってしまったのか知らないし、知る由もないし、知る気もない。過去の人間関係に囚われずに、前に進もうと決意したから。だというのに。
「久しぶりだねっ」
彼女は突然目の前に現れてそう言った。
「ねねね、昔みたいにどっか行こうよ」
「特にここら辺行って楽しい所ないよ」
「いーの! 君と遊べるだけで楽しいんだから」
後ろ髪を引かれる思いになった。前に進もう進もうとしているのに、彼女は僕を過去へと引っ張る。どうして、と思う間もなく、彼女は僕の手を引いて歩き出そうとする。
「この街も随分かわ……」
思わず彼女の手を振り払ってしまった。折角割り切った思いを、思い出したくなかった。
「なん……で? 友だちだったじゃん」
本当に友だちだったのかね。もう僕は知らない。
「バイバイ」
じゃあね、ではなく、バイバイ。二度と会いたくないということだ。彼女にもう会うことはないから、僕はまたちゃんと前を向けるようになるのだ。
#はなればなれ
成熟しても可愛がられる猫は羨ましい。
#子猫
紅葉。黄葉。役割を終えた葉がハラハラと落ちる。風が吹いてそれを促進する。
#秋風
寂しくなってしまう、あなたとたった一日会えないだけで。けれど、毎日会うのは迷惑だから。毎日会うと飽きてしまうから。そう思ってわたしは、あなたにゆっくりと手を振った。
#また会いましょう
「いやー俺ギリギリにならないと課題やれないんだよね。やる気出ないっていうか」
友達はそう言う。まあいいだろう、それで苦しむ日がいつか来るのだから。
#スリル