もしも翼があったなら
迷わず飛んで行けたのに
もしも願いが叶うなら
世界平和を願ったのに
もしも天才的な頭脳があったなら
人のため世のため力を尽くせたのに
もしも病気が世界から消えたなら
人は人を愛せたのかな
もしも、もしも、もしも……
考えてもきりがない
叶えられる事なんて
微塵も見当たらないのだから
ー願い事ー
俺は、寝たきり
声も出ない、起き上がれない
多分、一生寝たきりなのだろう……
◇─◇─◇
歩けた頃は、空が恋しかった
青空の下、虹がかかり
雨の中を、はしゃいで駆け回った
『なんて、きれいな空なんだ』
回り回る空
夕暮れ時の赤く燃える日も、好きだった
毎日眺めてたら、空と一体感になれた気がした
まさか、もう見れないなんて……
◇─◇─◇
「○○さ~ん、ブラインド、閉めますね」
首も動かせないから
窓に目を向けることも出来ない
星空、見たかったな……
大きな満月を背に
キラキラと輝く星空は
たくさんの夢を描かせてくれた
大きな月なんかに負けじと、光輝く星
自分も、同じように光輝けたら……と
何度、思ったことだろう
空、近くて遠い空
俺は、いつになったら自由になれる?
ー空恋ー
晴天の空、エメラルドブルーの青い海
打ち寄せる白波、肌色の砂浜
足を踏み入れれば、パシャパシャと水しぶきが舞う
麦わら帽子を片手に、耳を澄ませば
ザー、ザバァー、と、寄せては返す波の音
暑い暑い真夏は、まだ先
真っ白なワンピースのスカートが、ヒラリと舞い
涼しげな風が、耳を擦る
このまま、時が止まればいいのに……と
寄せては返すさざ波に、しばらく耳を澄ますのだった
ー波音に耳を澄ませてー
雨の匂いがする
どこかで降っているのだろうか
暖かで湿った匂い
ー夏の匂いー
そよぐ風に、カーテンが揺れる
きっとそれは、エアコンのせい
真夏の時期なんて
虫が入ってくるから
窓を開けようとも思わない
カーテンがそよぐのは
春から夏、秋から冬にかけて
清々しい風が入ればいいのに
ここ最近は猛暑ばかりだよ
真夏の暑さは、カーテンも遮れなくて
ーカーテンー