〈物憂げな空〉
神さまに、お祈りしました。
明日は大事な日なのです。どうか、私をお許しください、と。
神さまに、お祈りしました。
私の行いを、お赦しください、と。
心が軽くなりますね。
あの、武勇で有名な御仁が祀られており、
猛々しい龍の装飾がある、神殿に向かって。
あの、学問に優れたお方が祀られており、
梅の花の装飾がある、祠に向かって……
その日は雨でした。雫は、とても冷たい。
誰よりも、どの神さまよりも、神々しい存在は、
天。
御天道様ですよ。
私は、まだ、御天道様には、赦しを乞いません。
まだ、まだ……
〈0からの〉
ぱち、ぱち、ぱち、
爪を切りながら、ぼうっと物思いにふける
ぱち、ぱち。……。
汚い。何だこの色は。良かれと思って塗ったが、
やっぱり、気に食わない。
ぱち、ぱち、ぱちん。
やはり、あの人の言う通りに、なんて、
そんなの、性にあわない。
前に屈んで、小指から。
パチ、パチ、パチ、……
〈伝えたい〉
坂口安吾の「文学のふるさと」を読みなされ。
〈この場所で〉
朝早く母が作ってくれた弁当を自室の勉強机で食べた。
積み上げた日記帳を開く。
「2月11日
悲しき哉。自己の精神力が弱いことに気づいた。
集中力がありません。まるでドラッグでもしているようだ。
死を望むことはもう今後一切止めよう。どうせ死ねやしないのだ。死にたくても死にたくても、淡々と時が過ぎるだけ。もう受け入れよう。こんなにも苦しい世界で、私は、大嫌いな自分と共に歩み続けるのだ。人に期待されなくなって、私はとても寂しい。人に能力の低下を暗に意味されて――もちろんあの方がそんな心算で言ったのではないことくらい解っているが――とても苦しかった。
大丈夫。大丈夫だから。このまま生きていても、きっと大丈夫。好きなものが、心惹かれるものが、あるでしょう。それが無くても、それを失くしてしまっても、大丈夫。弱くたって、醜くたって、嫌われたって、大丈夫、心配ない。私だけは、私自身だけは、ずっと私の傍にいるから。大丈夫だよ。
私は、本当の意味で私を理解出来ていなくても、私の傍にいる。私が、私を支える。それなら、最強だよね。大丈夫、私がついている。ずっと、ずっと……。」
〈誰もがみんな〉
……お恨みしますよ。
僕をこんなに掻き乱して。
純粋純白。
僕の助走は、あなたに腹を捉えられたせいで、
殆ど無意味なものになった。
お恨みしますよ。
僕に憎悪などという感情を抱かせましたね。
そんなもの、持ったことがなかったのに。
なんていうことだ。僕は罪人か。
お恨みしますよ。