〈私だけ〉
私だけ醜い。
私はすぐに他人を見下すのだ
心の奥底で黒い渦が不断に回転している。
その底無し沼に気がついたとき
私は自分に失望した。
「私……お前は、クソなんだな」
これから先、
肺と肺の間に、
ずっしりとしたモノを抱えながら、
私は、他人を褒めて、彼らに笑って、
彼らと良い関係を結んで……
あ、あ、ごめんなさい、と、言わないと。
「許してください。私だけは嘘吐きなのです。」
〈目にしているのは〉
ぼやと共に始まったわたしの世界
ふわふわと覚束ない足取りで
少し霧が晴れるにつれて
鈍い紫色の染みが浮き上がる。
鮮明な世界では染みが浮き上がり、消え入り
休まる間も与えられず
ただただ藻掻く。
淡い毒色でフィルタリングされた世界には
合金。
〈君と最後に会った日〉
覆われた笑顔を思い描いて
目も合わせられず
声もかけず
横目に見て。
〈1年後〉
わーわー騒ぐアラーム音。
ああ、もう!
はやく起きなさい!
なんて、まだ言われていそう。
一限取らなきゃよかった!と言って、
ため息混じりに
はやく行きなさい。って。
今にも小躍りしそう!
そんなお話を毎日聴いて、
毎日わくわくして。
課題だって、自分の好きなもの。
苦じゃあないさ!なんて。
みんなが見れない特別なものを
たまーにでいいから見て
帰って活き活きと話すんだ
また物思いにふけって
それでもいつでもふふっと笑って
わくわくしながら眠るんだ。
アア、理想。
〈子供の頃は〉
いつだっけ。
幼児ながらに"みんな"をぼやりと見つめていた。
震えてどもる声で"わたし"の気持ちを表した。
なんだか仲良くなった気がした。
いつだっけ。
毎日が楽しくて仕方がなかった。
そりゃあ友達とケンカもした。
でも、取り繕わないこどもは気分がよかったね。
ああ。
うちの周りで友人が"いどう"していた。
交換ノート。
うちのカラフルな文字が、泥沼を描いていた。
うちの数色の文字が、見えない切り傷をつくっていた。
いつからかね。
あんたと出会ってずーと一緒にいる。
あんたが一番落ち着くんだよ。
あんたとは今でも口論しないねえ。
ああ、そういえば。
ウォークマンの充電コード。
あんなモノの自重じゃ人は死にゃあせん。
口角ひしゃげたうちは怒っていた。
懐かしいなあ。
人前に立つってのは、自分に責任と自信を持たせることなんじゃねえの。
あーあ。いつからだっけか。
梅雨の様な日々を過ごしだしたのは。