7/30/2024, 12:22:14 PM
澄んだ瞳
できることなら、青空や広々とした花畑や、どこまでも広がる海と波濤や、満天の星空を見ていたい。
生きているだけで美しい動物たちを眺めて過ごしたい。
自然は時に牙を剥くけれど、人々の欲望や争いごとの醜さに比べたらどうってことはない。
しかしおそらく、人々の間で暮らす限り諍いは絶えないだろう。
心穏やかに過ごせる時間は少ないだろう。
それでも、人の中にいなければ人の優しさや温かさには気がつかない。
人々の醜さと優しさを知ってなお、澄んだ瞳を持っていたい。
7/28/2024, 11:19:03 AM
お祭り
祭囃子だろうか、聞きなれない音が聞こえてきた。
でも、こんな夜中に?
ふと気になってカーテンを細く開ける。
最近LEDライトに交換された街灯に煌々と照らし出された路上には、確かに祭りの行列がそぞろ歩いていた。
人でないことを除けば。
チキチン、と鉦が鳴る。
狸が腹鼓をポンと打つ。
手ぬぐいをかぶった猫が軽やかに踊っている。
顔を上げた一つ目小僧とガラス越しに目が合う。
めかし込んだ狐が人のような仕草でおいでおいでと手招きする。
手招きに誘われるまま、裸足で外に出て行列に加わる。
いい気分で祭囃子に合わせてひらひらと踊るうち、手足の形が変わって行くのがわかる。
そこから先の記憶はない。
……夜中に祭囃子が聞こえても外を見てはいけない。
魅入られて人でないものになってしまうから。
7/27/2024, 1:35:21 PM
神様が舞い降りてきて、こう言った
メガネ落としちゃったんだけど見なかった?