ヤケザケ

Open App
12/22/2024, 11:14:04 AM

『ゆずの香り』

爽やかな香りが風呂場に満ちる。
ゆずが浮かんだ湯船に、アヒルのおもちゃを浮かばせる。
色が同じでなかまだね、と子どもが言った。

12/21/2024, 12:03:30 PM

『大空』

快晴な空に、赤い風船が飛んでいく。
ぽつんと何かの印みたいに。
飛空船からなら、わかるのかな。
風船を無くした子どもがいるかと思って見渡したものの、それらしい子はいなかった。

12/20/2024, 1:12:38 PM

『ベルの音』

鳴らしたら、すぐに来てくれた。
夜中でも、早朝でも。
ワガママ言ったり、困らせたりしたね。
結婚してもそばにいるものだから、ずっといるものと思っていた。
そんなわけはないのに。
おつとめご苦労さま。
いい主人でいられたかな。

12/19/2024, 11:47:12 AM

『寂しさ』

神さま。
寂しさは小さじ一杯分でいいのです。
ほんの少しの塩が甘さを引き立たせると言うでしょう。
そんなにたくさんは要らないのです。
しょっぱ過ぎて飲み込めません。

おわかりいただけますでしょうか。

12/18/2024, 1:09:16 PM

『冬は一緒に』

冬は一緒にいようね、と言って彼女は出ていきました。
きっと白鳥が渡ってくる頃には帰ってくることでしょう。
薄曇りで低い空を眺めて、待っているのです。

Next