なぜ泣くの?と聞かれたら
私はよく涙が出る。
悲しい時、悔しい時、
腹が立った時、感動した時。
その時に「なぜ泣くの?」と聞かれると、
「分からない」と答えてしまう。
別に泣きたくて泣いているわけではないのだけど、
感情が昂って、一線を越えると、
勝手に涙が出てくるのだ。
できるのであれば、泣きたくはないし、
誰か涙の止め方を私に教えてほしいくらいだ。
特に子供が生まれてからは、
小さい子供が亡くなるニュースを見ると、
涙が頬を流れる。
人生経験を経るごとに涙腺が緩むとはこのことか。
色んな経験を通じて、
色んな立場から物事を見れるようになって、
色んな視点から考えられるようになった。
涙を流すのは、誰かに寄り添えるようになった証。
そう思えば、涙を流すのもなんだか悪く無いような気がしてくる。
終わらない夏
お盆もすぎて、夏休みも残り数える程度。
夏がようやく終わろうとしている。
でも、今年の夏は暑すぎて、
35度越えの日なんて日常茶飯事。
今だに暑さはとどまることを知らず、
9月も最早夏模様。
私が小学生の時、
夏休みが終わる頃には、
夕方に祖父母と夕涼みをして、
電線に停まる烏の群れを、
拍手で追いやって遊んだ。
外に椅子を出して、うちわで扇ぎながら、
飛んでいく烏の群れを眺めていた。
今は夕方でも涼むなんてできやしない。
うちわはただ熱風を送るしかできず、
なんの気休めにもならない。
夏は例年伸びている。
暦の上での夏は、今の時代では通用しない。
夏休みは終わってほしくないけど、
夏は早く終わってほしい。
今の子たちはそんな風に思っていたりして。
君が見た景色
雨の日。
それも、ザーザーと絶え間なく降り続く土砂降り。
黒い雲が空いっぱいに立ち込める薄暗い景色を見て、
心まで湿って沈んでいく。
中々止みそうにない。頑張っても濡れてしまいそうだ。
憂鬱な気分になって、ため息をひとつついた。
仕方なく、面倒臭いが傘を開いた。
その瞬間、抱き抱えた娘が
きらきらとした目で空を仰いだ。
何だろう、とその目線を辿った。
娘は傘が面白かったらしい。
その傘は私が10年前くらいに気に入って買った。
モネの池が描かれた傘で、
傘を広げると、モネの池が空いっぱいに広がった。
そこに、雨が落ちる無数の音がして、
何とも不思議な幻想的な景色に見えた。
見慣れたはずのふとした景色でも、
雨降りの日に下ばかり見ていた私には、
気づくことができない美しさだった。
これからもそんな新しい景色に
この子は出会い続けるんだろう。
その度に私ももう一度
新しい景色に出会わせてもらえるのだろう。
またね
「またね」
こども園に子どもを迎えに行ったら、
先生や友達が子どもに話しかける。
まだ話すことのできない私の娘は、
にこにことしながら、
小さな手をくるくる回す。
彼女特有の“バイバイ“だ。
少し前までは何もできなかったのに、
今ではバイバイができるのか。
と、そんな小さなことでも大きな成長に感じる。
いつか「またね」と言い返せる。
そんな日が来るのが待ち遠しい。
タイミング
“タイミングを逃した“と思うことって、
人生の中でたくさんあると思う。
私ももこれまでそう感じたことが多々あった。
大学4年生の頃に就活が上手くいかず、
仕事に就くことができなかったり、
自分が結婚したいな、と思っていた時期に、
恋人ができなかったりした。
その時は、なんでいつも上手くいかないんだろうと、
モヤモヤと落ち込んでは、やるせない気持ちになった。
でも、結局のところ、
今就いている仕事はとても大好きで、
なんだかんだ結婚して、子供もできて、
過去を振り返ると、
まあ悪くはないタイミングだったのかなぁ、
なんて思えたりするのだから不思議だ。
過去に抱えてた大きな悩みは、
将来、しみじみと懐かしく感じる時がある。
逃したタイミングも多かったけど、
巡ってきてくれたタイミングもたくさんある。
きっと、人生ってそういうものなんだろうな。