12/19/2023, 11:30:05 AM
まあるいガラス瓶にしっかり栓をして、
海の底へ沈んでゆきます
ガラス越しに見上げる夜の海は
頭上から月明かりがさして、
ガラス瓶のまわりの たくさんの気泡が
真珠色の光をやわらかく弾いて、
夢のように ぼんやり明るいのです
ガラス瓶はひっそりと 深く深く沈んでゆきます
月の光は、もうとどきません
岩陰をうごめく無数の影も、もう見えません
真っ暗な海の底で
冷たいガラス瓶のなかで
わたしの身体は 泡になってはじけたのです
『寂しさ』