時が止まったと思った
自分が何を言ったかわからなくなった
どうしてあなたが固まっているのかわからなくなった
しばらくして気づいた
また何かやってしまったんだと
すぐに謝ればよかったんだ
あのとき「ごめんなさい」の6文字さえ言えていれば
それさえできていればもっといい未来があっただろうに
一生悔やむんだろうな
あなたに謝らなかったこと
「…月が綺麗ですね」
満月の夜、溜息とそんな独り言を零す
いつかあなたに伝えられますようにと月に願いを込めて
逃れられない
目の前のこいつから
いくらでも目を背け続けることはできる
けれどそれには相応のツケが回ってくる
今はそれの清算をしないといけない
決して逃れることはできない
だけど
だけど今まで目を背けてきた分
向き合うのが怖い
自分と
この目の前のテキストと向き合うのが怖い
いかに自分ができないやつかを思い知るのが怖い
嫌だ、やめてくれ、現実なんて見たくないんだ…!
全部投げ捨ててどこか遠くに旅に出たい
勉強から逃げ続けていたい
受験など知らんぷりして遊び続けていたい
けれどどうにもこいつらからは逃れられない
「また明日ね」
なんて、そんな他愛のない言葉を交わせるような仲になりたかった
透明人間になったみたい
貴方にも
あいつにも
この人にもあの人も
どいつもこいつも私のことなど見えていないかのように振る舞う
もしかしたら本当に私は透明人間で
誰からも認識されていないのかもしれない
自然と涙が溢れた
私は悲しいんだろうか
それとも悔しいのだろうか
自分自身でも自分を捉えられなくなっていく
透明になっていく
鏡に映る自分の顔が涙でぼやける
涙を拭ったら自分が消えている気がして
怖くて鏡から目をそらして部屋に篭った
布団の中で夜通し泣き続けた
苦しかった
それでも時間はどこまでも無情
目が腫れて涙でべちゃべちゃの私の顔を朝日が容赦なく照らす
いつまでこんな日々が続くんだろう
全て終わってしまえばいいのに
そんなことを考えている私は
自ら命を絶つことなど怖くてできない臆病者なんだ