My Heart
それはいろんな私が住む場所
それは感情という名の色水を貯める場所
それはどこまでも複雑で
それはどこまでも終わりがなくて
それは1度迷い込んだら抜け出せない迷宮のような場所
それは一見丈夫そうに見える場所
それは実はとても脆い場所
それは温かい場所
それは冷たい場所
それは明るい場所
それは暗い場所
それは人には見えない場所
それは人には見せられない場所
それは人には見せてはいけない場所
それはあらゆる攻撃から身を守るための場所
それはあらゆる攻撃でいとも容易く崩れる場所
それは機関銃では崩れることはなく
それは子供が投げた石が一つ当たっただけで崩れてしまう場所
それが崩れてしまったときには
今まで溜め込んだ色水がすべて溢れ出るだろう
溜め込んだ色がごちゃまぜになった
醜い何色とも形容しがたい色水が
居場所をなくして混乱した私たちは
泣き出し
叫び出し
あるものは笑い出すだろう
色水の洪水はしばらく収まらないだろう
しかしそれが完全に無くなることもないだろう
洪水が収まりきる前に
私はまた新たなそれを作り出す
今度は崩れることのないように
より頑丈に
もう二度と色水が溢れてこないように
もう二度と苦しまないように
そしてまた繰り返す
そしてその度に外界との隔たりは大きくなる
そして私は一人になる
そして溢れた涙は
何色にも染まらない透明だった
大きな目
自信に満ちた強い眼差し
小さい口
優しい声で紡がれる美しい言葉たち
小さな鼻
ふっくらした頬
キレイに整った困り眉
花の香りに酔いしれたような穏やかで自然な微笑み
薄いお腹
背伸びのたびに見える丸いシルバーのヘソピ
細い腕
袖の膨らんだ半袖のブラウスから伸びる白い腕
細い脚
黒くて短めなタイトスカートから覗く白い脚
長い指
右手の小指に光るピンクゴールドのピンキーリング
艶のある柔らかい髪
風に揺れて踊る毛先
私にはない、あなたにはあるもの
それがどうにも憎らしい
視界に入るその横顔も
嫌でも耳に入るその声も
全部大嫌いだ
嫉妬
ないものねだり
ただそれだけ
私にないもの、あなたにあるもの
私が喉から手が出るほどほしいもの、あなたは既に持っているもの
あなたにはないの?
あってほしい
それで苦しめばいいのに
そう思ってしまう私は、きっとあなたのようにはなれないね
いつまでも私の隣を離れてくれないあなたを眺めて
私はまた考えてしまう
君のことなんて好きじゃないよ
もう君が知ってる私じゃないの
だからいい加減私の頭の中から出ていってよ
もう君のことなんか好きじゃないんだから