69日目


Bye 僕が言うと

Byeと君が返す

こうして僕達は別れ

また巡り会う

そんな当たり前を繰り返す

はずだった

一人きりの帰り道

Bye byeと虚空に放る

68日目

何故夢を見る

届かないと知りながら
叶わぬと感じながら
必死に手を伸ばす

近づいたかと思えば
その眩しさに目が焼かれ
その灼熱に翼が溶けた

そうして天へと堕ちていった



#イカロス

67日目

薄暗い公園に香る春の匂い
もうこんな季節か
来始めた頃は紅葉が綺麗だったというのに

僅かに膨らんだ蕾を仰ぎながら
手にしたビールを煽る

家々から聞こえる話し声と
漂ってくる夕飯の匂いに虚しさを覚え
冷めきった家へと足を向けた

66日目

送信ボタンに伸ばした指が微かに震える
迷惑じゃないだろうか
今の関係が崩れないだろうか

スマホを置いて自問する
迷惑かなんてわからないじゃないか
今のままでいいのだろうか

そうしてなけなしの勇気を振り絞りボタンを押した

「2人でご飯に行きませんか」

65日目


その光は果たして僕を照らしているのだろうか───

街に煌めく明かり
照らされる木々と幸せそうな顔
彼らの無邪気な笑い声と表情に
彼ら自身が光っているような錯覚さえ覚えた

同じ道を歩いているはずなのに
同じ道を歩いてきたはずなのに
彼らにだけスポットライトが当たっている
そんな感覚がした