32日目
何故だろう、人といる方が孤独に感じるのは
輪に入って居るはずなのに疎外感を感じるのは
人といるのは嫌いじゃない
それでも分かり合おうとするほど
「分かり合えないこと」が分かってしまう
どうしようもない価値観の差を感じてしまう
そうして僕は孤独になっていく
だからこそ期待なんてしないように
最初から一人でいたいんだ
31日目
僕は君の眼を覆ったんだ
不条理に傷つかないように
理不尽に潰されないように
この世界に絶望しないように
その澄んだ瞳が濁ってしまわぬように
でも君は無邪気だった
知りたいと、見たいと
覆っている手を外そうとした
そんな君を否定なんてできなくて
この手を外して隣を歩くことにしたんだ
見たくないものに蓋をできるように
30日目
あぁ人生が毎日お祭りだったらいいのに
いや、本来ならばお祭りであるべきだと思う
「1度きりの人生だから後悔のないように」
「やりたいことをやるべき」
とは言うけれど、実際は日々を浪費していて
代わり映えのないケの日を貪っている
いわゆる先進国に生まれて
ある程度の生活水準を担保されている僕ら
多くの人には危機感がない
「明日死んでしまうのではないか」
脳裏をよぎることはあっても真剣には取り合わない
でも知っているかい?
心臓が原因の突然死は一日に200人
事故死は一日に10人ほど
毎日平均4000人ほど亡くなっているんだって
この日本でさ
こうは言っても自分の死は身近じゃない
それでも君もハレの日々を願わないかい?
29日目
従兄弟のために蝶を捕まえよう
姪っ子のために花を手折ろう
彼のために魚を捌こう
彼女のためにアイツを刺そう
誰かのために僕は死のう
生きたいと願う誰かのために
28日目
特別になりたかった
個性を大切にと言いながら
実際は集団への帰属を求める社会
私はそんな社会に染まっていた
個性を出して目立つよりも
周囲と足並みを揃える方が楽だった
でもどこか物足りなかった
このままでいいのかと考えてしまった
だから私は飛び立つことにした
足枷を解いて翼を広げ
自由という不自由の元へ
個性という名の孤独な世界へ
鳥籠の外は思っていたより狭くて
それでも迷うくらいには広かった
個でありたいと願ったのに
気づけば帰属意識の塊となり
羽根はもげてゆっくり堕ちていった