夢芽

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7/25/2024, 11:58:53 AM

28日目

特別になりたかった
個性を大切にと言いながら
実際は集団への帰属を求める社会
私はそんな社会に染まっていた

個性を出して目立つよりも
周囲と足並みを揃える方が楽だった
でもどこか物足りなかった
このままでいいのかと考えてしまった

だから私は飛び立つことにした
足枷を解いて翼を広げ
自由という不自由の元へ
個性という名の孤独な世界へ

鳥籠の外は思っていたより狭くて
それでも迷うくらいには広かった
個でありたいと願ったのに
気づけば帰属意識の塊となり
羽根はもげてゆっくり堕ちていった

7/21/2024, 2:51:32 PM

27日目

1番欲しいものそれは勇気だ

僕は傍から見ればけっこう上手く生きているだろう

運動もできたし成績もそこそこよかった
現役で大学に行ってそこそこの企業に就職もした
だが、それがなんだと言うのだ

学校は好きじゃなかったし
いつだって周囲との温度差を感じていた
上手く生きたくなんてなかった

「自殺や引きこもりは逃げだ」と言う人がいる
それは彼等の視点では正解なのだろう
しかし僕にはほんの少し眩しかった
周囲の目を捨てられた彼等
周囲の目を気にして「上手く生きている」自分
そんな自分を捨てる勇気が僕は欲しかった

7/20/2024, 12:34:44 PM

26日目

「むめ」はある種のコンセプトだ
思考と感性の分離を目指した結果だ

初めは誰よりも純粋に、無邪気に生きようとした
けれど真っ直ぐ生きるにはこの世界は酷すぎた
正しく生きることは出来ないと思ってしまった

だからこそ純粋な感性と
どうしようもない思考を分離しようと考えた

その結果生まれたのが「霧雨」と「夢芽」だ
霧雨の中でも光の中に恋をして夢の芽を咲かせる
これら2人が1人で「むめ」だ

7/19/2024, 12:49:02 PM

25日目

いつからか視線の先には彼女がいた
楽しげな表情、大きく開く口
その口から発せられる言葉は綺麗だった

彼女は手も美しかった
誰よりも繊細でしなやかな指先
その手から紡がれる言葉は優しかった

嗚呼その声を聞くことが出来たのなら

7/15/2024, 1:04:53 PM

24日目


「終わりにしよう」
彼は練習する部員たちに向かってこう言った

「終わりにしよう」
彼は泣きじゃくる彼女を前にこう言った

「終わりにしよう」
彼は煙草の空箱を手にこう言った

「終わりにしよう」
彼は共犯者に対しこう言った

「終わりにしよう」
彼は我が子の首に手をかけこう言った

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