大好きな君へ
まずはありがとう
人見知りな私に笑顔で話しかけてくれた君の顔を今でも鮮明に覚えています
とても嬉しかった良い思い出です
家の事情で遠くに引っ越さなければいけなくなりました
手紙でのご挨拶になってすみません
急に決まったたことなのです
君と毎日笑い合うことはもうできないけれど
君がくれたものは私の中でこれからも生き続ける
なのでさようならは言いません
また逢う日まで
私のそばにいるのはあなただけでいい
いや、私にはあなたしかいないのです
ほかの何にもあなたの代わりは務まらなかった
私の世界はずっとあなたに支配されている
あなたの隣に他の誰かが立っていても
あなたには永遠に私の唯一でいて欲しい
私のことを忘れてしまっても構わない
私はあなただけをずっと見ていたい
歪んだ私をあなたはどうか知らないで
私にあなたを想わせて
カーテン
カーテンを開けたらそこには
荒廃した世界が広がっていた
昨月突如として現れた怪獣は
すべてを破壊し尽くしていた
もう頼れるものなど何もない
圧倒的な暴力を前に今我々は
ただ平伏すことしかできない
数十年生きた私のこの身体を
奴は安々と潰してしまうのだ
人間がどれだけ抵抗しようが
奴の歩みが止まることはない
私にできることなど何もない
外界とは隔絶された家の中で
我が身の無事を祈るばかりだ
閉めっぱなしのカーテンから
目を背け少し眠ることにした
放課後
夢の中にふたりきり
あなたは独りで泣いていた
わたしはあなたを見つめている
「あなたは誰なの」「何で泣いてるの」
そう尋ねても応えはない
透明人間になったみたいに
わたしの意識はふわふわと漂うばかり
あなたは只々泣いている
つまらない意地を張るわたしの代わりに
涙の理由は聞けないけれど
きっと答えはわたしの中にある
あなたの幸せを願って
あなたを忘れてしまわないように
わたしは目を覚ました
一人では食べ切れないパフェを
二人で分け合ったとき
遠くに聞こえる祭囃子に
小走りになるあなたの背を追うとき
楽しい休日の終わりに
次いつ会えるか聞くあなたの笑顔
あなたがくれた
心躍る毎日が胸に浮かぶ
あなたを突き放して
思い出にたあの時から
わたしの心にぽっかり空いた穴は
何をしても埋めることなんてできなかった
部屋に飾っていた
二人笑顔の写真を破り捨てた
私の中からあなたを消すために