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8/31/2023, 12:30:47 PM

道端でふっと懐かしい香りがし、足を止めた。シトラス系の爽やかで、でも主張しない心地のいい香水の香り。私は、これをどこで嗅いだのだろうか。思い出せそうで思い出せないもどかしさが、さっきまでの心地よかった気分をぐちゃぐちゃにさせる。

香りというのは、思い出よりも印象に残りやすい。それが良い記憶だったか悪い記憶だったとかは置いておいて、私にとってはきっと、忘れきれない思い出だったに違いないだろう。そう割り切って、また歩き始めた。

8/30/2023, 12:26:17 PM

何か話さなくても、彼の求めているものは分かっている。今日の夜ご飯はハンバーグがいい、仕事が遅くなるから一緒にご飯はたべれない、たまにはかまって欲しい、...まあ、挙げだしたらキリがないが。彼は無愛想な分、ちょっとした表情や仕草ですぐ分かるのだ。初めて出会った時から不思議と、彼の恋人になるために生まれてきたんだろうなってくらい誇れる力だ。

とは言ったものの、今日の彼はどこかおかしい。どこか落ち着きがないし、顔も少し赤くなっている。何か謝りたいことがあるのか?いや、そうだったら手を後ろに隠している理由が分からない。ということは、手に何か持っているのか...?プレゼント...にしては小さいように見えるし、今まで貰ったものはマグカップを例にしてもサイズが大きかった。

-あれ?もしかしてこれはアレなのでは?
私は、思いついた話題をだそうとたが、あえて口を閉じる。だって、彼が最初に言い出さないと雰囲気が台無しになるじゃないか。

8/29/2023, 3:11:56 PM

半年ぶりくらいだろうか、いや、それ以上だろうか。
しばらく学校に行かなかった私のところに、君が来てくれた。

君はいつもと変わらない声で話しかけてくれる。嬉しく感じるのに、心の奥底に罪悪感も湧き出てくる。私と話してたら、私と同じことになるのに...。

「あ...あのさっ、よかったら僕と付き合ってください」

突然の告白。思いもよらず笑みがこぼれてしまいそうで、でも、その気持ちを殺してしまった。君が傷つく姿を見たくないから、悲しむ姿を見たくないから。何より、私は貴方が幸せにしてる姿を遠くから見た方が良いのだ。

君が消えた玄関を、ただぼうっと見つめ、一雫の涙を零した。

8/27/2023, 11:18:50 AM

灰色がかっていた空はやがてさらに暗くなり、いつの間にか雨粒が窓を強く打ちつけていた。図書館へ出掛けていた私は、どうやら勉強に集中しすぎて眠ってしまったようだ。

どうしようか。傘は持ってきていないし、そろそろ帰らないといけない時間だ。周りには人が居なく、司書さんがいるだけ。...仕方ない。とりあえず、雨脚が弱まるまで待っていよう。私は再び書きかけのノートを睨みつける。激しい雨音が、眠気で鈍くなった感覚を研ぎ澄ませてくれる。そんな感じがした。