一人でいたい。
君が好きだった。
君の他に無かった。
自分はこのままずっと君を愛しているんだと
思った。
思っていた。
突然だった。末期の病気だった。
よく晴れた日。鳥のさえずりが聞こえる。
窓からは優しく日光が差した。
君は逝った。
もう誰も受け付けない。
誰を好きになるつもりもない。
誰とも一緒になりたくない。
君だけだった。
だから、一人でいたい。
澄んだ瞳に映るのは。
青く連なる山岳。
夏の間に広がる野原。
清らかに流るる川。
周りを囲う雲。
隙間から差し込める光。
この自然。瞳に映る自然。
ん?つまり、エモいってこと。
嵐が来たら何をしようか
大量の雨粒に濡らされて
あの風が吹いて
いや、そんなことないや
嵐が来たらこの四畳半で
窓に叩きつける雨粒を
見つめる
そして君に触れる
嗚呼。全部夢だ
これは逆夢だ。残夢だ
目を覚ましたら
外は嵐だった。
僕が東京に行く前に祭りに誘えて良かった。
最初で最後になるのかな。
金魚すくいで君が袖を濡らしかける。
「楽しいね」って笑いかけるその笑顔。
愛しい。
君は花火を見ながら、扇を仰ぐ。
君の横顔がずっと好きだった。
花火に照らされる君の横顔の輪郭をなぞる。
すると君の口が開いた。
「*─────
──────────き。」
周りの喧騒と花火の音で聞こえなかった。
「またね。」
そして去った君。
君から水滴が落ちて光った気がした。
神様が降りてきた。
ただ日本にはたくさん神様がいる。
確か神様は見てはいけないのでは?
「大丈夫!私、トイレの神様だからさ!」
「正規メンじゃないんよ。私。」
あぁ……
「一つ言いたいことがあってね。」
「ちゃんとトイレの掃除してる?」
「便座の裏見てみ?尿石びっちりついてるから!」
降りてきて言うことか?
「あとなんか黄ばんでるしさ。」
「私、毎日見に来られるわけじゃないんよ。」
「全国のトイレの担当してるからさ。」
「でもあんたのトイレの汚さ全国でも3位には
入ってるよ?」
「綺麗にしといたほうがいいよ~私でも綺麗に
してる人に良いことがあるようにする権限は
あるからさ。」
「そんじゃあね!」
なんだったんだ?