時雨

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僕が東京に行く前に祭りに誘えて良かった。
最初で最後になるのかな。
金魚すくいで君が袖を濡らしかける。
「楽しいね」って笑いかけるその笑顔。
愛しい。
君は花火を見ながら、扇を仰ぐ。
君の横顔がずっと好きだった。
花火に照らされる君の横顔の輪郭をなぞる。
すると君の口が開いた。
「*─────
    ──────────き。」
周りの喧騒と花火の音で聞こえなかった。
「またね。」
そして去った君。
君から水滴が落ちて光った気がした。

7/28/2024, 11:28:19 AM