入山夜鷸

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5/7/2024, 3:13:58 PM

ありえもしない逢引を
寝台の上 浮かべては
いったい私の初恋は
いつだったろうと息をつく

あれがそうであったのか
そもそもあれは恋なのか
苺も檸檬も香らない
古い記憶に蓋をした


「恋愛譚を読む」

5/6/2024, 2:45:20 PM

明日世界が終わるなら
母の故郷で迎えたい
海鳴り 鴎 振り子時計
それが聞けたら未練は無い

明日世界が終わるなら
数編の詩を遺したい
生き残りとか 宇宙人
誰か読めたら未練は無い

明日世界が終わるなら
終わり際は目を開けていたい
家族 空白 あちらがわ
今から足掻いちゃ、だめかなぁ……


「終末の予定」

5/5/2024, 2:33:46 PM

小さな出逢いにありがとう
私が遅く生まれたので
話したこともないけれど
確かにこれは出逢いです

一首が無ければどうでしょう
三十一文字に込められた
人と交わる喜びを
私は知りもしないはず

一編無ければどうでしょう
他人に分かり得もしない
己に渦巻く葛藤で
私は溺れてしまうはず

一話が無ければどうでしょう
頁の一枚一枚が
非常扉であることに
私は気づきもしないはず

遺してくれてありがとう
遅く生まれてくる人と
私も出逢えるのでしょうか
ひとまず書いて生きてみます


「本の中の先生方へ」

5/4/2024, 4:05:18 PM

次を左に行けば家
ご近所さんの生け垣の
メランポジウムとすれ違う
蛙が夜を呼び始め
遠くに電車の走る音
春は、春は帰ったね
足音くらい欲しかった


「17時、20度」

5/3/2024, 4:07:24 PM

ふたり いけないことをして
ふたり その蜜に溺れて
ふたり レテの水を飲んで
ふたり おそろいになりたい


「ふたり」

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