今日も朝が来た。
いつものように、仕事に行く準備をする。
電車に揺られて45分ほどの場所に会社はある。
月曜日の7時45分。今日も電車は混んでる。
それぞれこれから学校や会社に行く為なのか、皆憂鬱そうな顔をしている。
私もその中の一人だ。
今週は忙しいなぁ。
これやってあれやって…
いったい何時に終わるのだろう。
でも、今日も定時で帰ろう。
私は会社の目の前にある歩道橋から、沈んでいく夕日を見るのが好きだ。
今日もまた夕日を見たい。明日もまた見たい。
だから、今週も頑張ろう。
「沈む夕日」
結婚して20年が経った。
私たち夫婦は、周りも羨むほどのおしどり夫婦。
飾りでも何でもなく、仲良く20年過ごしてきた。
小さなことで喧嘩することはあったが、翌日にはお互いが謝りあっていた。
子どもも15歳と13歳。あまり手がかからなくなってきた。
そんな私たちには、二人で楽しんでいることがある。
私も妻もお酒が好きで、毎晩一杯のビールで乾杯するのが日常だ。
私も妻も仕事の付き合いで飲み会に行くことはあったが、早く帰れた日はやっぱりビールだった。
ビールを飲みながら映画を観る時間は、私にとってかけがえのない時間。
今日もいつものように、映画を観ながら談笑していた。
今日見ているのは恋愛映画。
妻は珍しく、ちょっと甘えてくる。
お互いに歳をとったが、やはり妻が一番美しい。
そんな妻が上目遣いで見つめてくる。
慣れないな…
君に見つめられると、未だにドキドキしてしまうよ。
10年後には慣れるのかなと思いながら、私は妻を見つめ返した。
「君の目を見つめると」
今日は久し振りのデート。
つい先日、入社式を終えた私たち。
大学を卒業する直前まで、何かと予定が入っていて会えていなかった。
社会人になってから初めてのデートだ。
学生時代は実家に住んでいた私。
心配性な母がいた為、夜遅くまで遊びに行くことは御法度だったから、夜にデートなんてしたことがなかった。
就職を機に、私たちは県外に出た為、それぞれ一人暮らしを始めた。
私は早めに仕事が終わったから、一度帰って準備をする。
彼は少し遅くなるみたい。
待ち合わせの場所。
初めてくる所だから、ここでいいのかなと心配になる。
私も母に似て、心配性なのかな。
少し待っていると、彼から連絡が来た。
「ごめん!すぐ向かうね。」
「分かった、待ってるよ!」
まだ少し肌寒い星空の下で、彼が来るのを待っている。
「星空の下で」
私の親友は、自分のことが嫌いらしい。
顔も特別可愛いわけじゃなくて、どちらかというとブスで、これといった特技や趣味もなくて、特徴がない、と本人は言っている。
よく、「私って生きてる意味あるのかな」と話している。
生きてる意味はあるよ。
私にとって、貴女は唯一の親友だから。
かくいう私も、顔は可愛くないし、人に自慢できるようなことは何もない。
だから、貴女は貴女のままでいいんだよ。
私が悩んでる時に、そっと寄り添ってくれたのは貴女だったよ。
嬉しい時に一緒に喜んでくれたのは貴女だったよ。
悲しい時に一緒に泣いてくれたのは貴女だったよ。
これからも隣で一緒に笑ったり泣いたりしたい。
それだけで、十分なんだよ。
貴女は、貴女のままでいい。
それでいいんだよ。
「それでいい」
私は彼に片想いしてる。
もう6年くらいになるかな…
彼は気付いていないようだけど。
彼と同じ高校に行きたくて受験も頑張った。
部活も彼を見たくて、マネージャーになった。
偶然、クラスも同じ。
席は少し離れてるけど、彼を眺められる席。
今日も彼は部活。
私も部活へ行く。
彼が頑張ってる姿を眺められる。
彼は部活が終わると、一人で帰ってしまう。
友達がいないわけではないようだが、方向が違うらしい。
私も方向は違うけど、途中までは同じだ。
今日こそは一緒に帰りたい…
私は勇気を振り絞って、彼に声をかけてみた。
すんなりとOKしてくれた。
嬉しさと緊張で何を話せば良いのか分からなかったが、学校のことや部活のことを話した気がする。
それからは、彼と途中まで帰るようになった。
彼のことを知って、ますます好きになった。
ああ神様…
1つだけ願いが叶うなら…
彼に告白する勇気を、私にください…
「1つだけ」