そのポケットに
何もなくたっていいんだ
きみがとなりに
いてくれるだけでいいんだ
きみが未来に行っても
きっと帰ってきてね
机の引き出しあけたら
きみが笑って飛び出してきてね
「ただいま」
「おかえり」
【タイムマシーン】
めんどくさくても朝は起きるよ
えらいからご飯もちゃんと食べる
洋服は君がほめてくれたもの選びがち
ショーウィンドウ見て猫背も直す
嫌なことも頑張ってみようと思う午前
嫌なことが好きになってたりする午後
傘を忘れた日に雨に降られても
傘を買ったとたん雨がやんでも
めげずに歩いているよ
ときどき花でも買って飾ってみよう
君の好きな花を
君の好きだった花を
―――…
お風呂に入ってご飯を食べてしっかり歯磨きをしてねむる。部屋にひとり。
君と待ち合わせをする夢を見る。待っても君は来ない。夢なんだから少しくらい顔を見せてもいいのに。起きても君はいない。
すぐにでも会いに行こうかなんて思った夜はいくつもあった。けど、そんなことしたら君はすごく怒るだろうから。
できるだけ長く歩いてみるよ。明日だってちゃんと起きる。
だから、
いつか本当に起きれなくなったら、
いつか最後の暗いトンネルを抜けたら、
今度こそ待ち合わせ。
花束みたいな笑顔で会いに来てね。
勝手にとりつけた約束を胸に起きあがる。
めんどくさくても今日を生きるよ。
「君に会いたくて」
見上げた宙の広さが
心の内側にもあって
あの無数の星の煌めきが
わたしにもあるとあなたが言う
信じられないよ
となりの星は青く見える
沈んだ海の深さが
わたしの日々にもあって
だれも来れやしないと
零した底であなたと会った
信じられるよ
となりに座ったあなたが言うなら
わたしは
いつか見つけるだろうか
宇宙飛行士みたいに
自分を眺めて
なんだ、わたしにもあったんだって
「わたしの星は青かった」って
ああ今、わたしの内側に浮かぶ
小さな地球がきらりと光って
笑ったような気がした
涙も海も全部かかえて
青く光る星はとても
美しかった
「この世界は」
いとも簡単に
抱いたばかりの炎を掻き消した
九十九の呪いの言葉
いとも簡単に
九十九の呪いの言葉を掻き消した
たった一言、「きみのそれ好き」
どちらを選ぶかなんて
どちらを信じるかなんて
「夢を見てたい」
たくさんの色のなかで
すこし戸惑う
見慣れた色を見つけて
ほっと息つく
今はまだきみを通して
それでもきっと
世界を愛せる
「色とりどり」