「眠りにつく前に」
睡魔が眠りの世界へと誘う。
波の様に現実と夢の中をあっちこっち。
もう起きられない。目が開かない…。
瞳が閉じようとしたその瞬間、ふと思い出した。
手付かずのノートを開いて課題を半分だけでも、と思いながら進める。眠気と闘いながら課題に挑むと頭がモールス信号の様にSOSを求めてくる。
もう限界だ…。
コテンっとベッドに倒れた俺はその温もりを全く知らなかった。
考えようともしなかった。
深く沈む身体と安らぐ精神。
あぁ、そういう事か。
俺はきっと、疲れてたんだな。
おやすみ、頑張り屋の俺。
「行かないで」
今日も終わる。
君が手を振って別れを告げた。
君の後ろ姿が段々と小さく見える。
その光景が寂しくて目頭が熱くなってきた。
泣いちゃダメ…。
分かっているのに言葉が、感情が、訴えている。
またいつ会えるの…?
ポツリと浮かんだ疑問が夜の闇に消えてゆく。
お願いだから…と伸ばした手は虚空を掴んだ。
本当は言いたかったよ。
行かないで
「忘れたくても忘れられない」
君が初めて恋愛相談をして来た。
知らない男の子。
名前すらピンと来なかった。
けれど私は話を合わせる。
君の隣に居られるように必死になって、それが憧れなのか、恋愛感情なのかは分からない。
ただ、隣に居たかっただけなんだ。
君は誰にでも好きって言う癖がある。
お願いだから
私には冗談でも好きって言わないで
君とは何かが違う。
それが分からない。
だけどきっとこれは、君と私の間には境界線が引かれているんだ。
草原に何気に咲いていた
たんぽぽを拾ってちぎってみた。
まるで私達のように
たんぽぽは儚くヒラヒラと落ちてった。
そうこれが、忘れたくても忘れられない最初で最後の君との思い出だ。
「やわらかな光」
どうしよう。
何もかも捨てて、君と逃げ出したい。
そう思った昼間。
真面目な君が「ダメだよ…」と呟く。
私はずるいから聞かないフリした。
このまま2人でどこまでも行こう。
陽が私達を照らす。
君の軟らかな手を握ってどこまでも走った。
疲れて木陰で休憩してるこの時間が好きだ。
君の脚から伝わる温かな温もり
優しくて落ち着く声
木陰から差し込む陽の光が暖かくて眠ってしまった。
あぁ、もう私はこのまま永久に眠りたい。
全て忘れて君と2人で。
「鋭い眼差し」
好きで堪らない。
誰にも盗られたくない。
君を独り占めしたい。
艶やかな長い髪、白い肌、可愛い目、潤った唇。
私が好きな君なのに。
なんでだろう。
君が他の人と話すと胸がザワつく。
気持ちが落ち着かない。
君と話すあいつが嫌いだ。
「そろそろ行こっか」
そう言って君をあいつから遠ざける。
そして私はあいつを睨みつけた。
酷く醜い歪んだ感情と目つきで