今日で君に会えなくなってから一年らしい。
まだ一年なのか。
君に会えないというだけで、ずっと長く感じるよ。
卒業式の時、私の胸に優しく花を添えてくれた君は本当に綺麗だった。
嬉しそうな、誇らしそうな。
だけど、寂しそうな。
そんな感情で瞳を揺らす君は、触れると消えてしまうんじゃないかというくらい儚かった。
君に会うためだけに、学校に行っていた。
君と言葉を交わすだけで、今日を生きれる気がした。
ここに来ればまた会えると思っていたんだけど。
太陽のような笑顔で迎えてくれると信じていたんだけど。
君がここを去るということは、何となく解っていたから。
君が今、誰と居て、何処で何をしているのか。
知る術は私にはない。
だからせめて、これだけは願うことを許してほしい。
これほどの愛しさを、たくさんの幸せを教えてくれた君の、今日という日が。
どうか優しさで溢れますように。
〝君は今〟
今日は僕の誕生日。
まだ何年か、とも思うけれど。
もう何年か、とも思う。
息を吸って、吐いて。
その繰り返しで今日まで生きてきた。
そう。
吸って、吐いて。
気体ではなく液体に包まれていたあの頃の僕は。
まだ世界の眩さも闇も、何も知らなかった生き物は。
どこまでも無限大で、汚れのない白色だったのだろう。
もしもまた、あの地点から始まるのなら。
僕は一体、何で在るのだろう。
〝0からの〟
毎日毎日、時計の針が午前0時を迎える度。
僕らは今日にさよならするんだ。
〝今日にさよなら〟
あぁ、そうか。
今日はバレンタインなのか。
え? 何もしないのかって?
嫌なことを訊くねぇ。
まぁ、僕はせいぜいコンビニで買ったチョコレートを一人虚しく食べるくらいだよ。
いつか、いつか。
この日を好きになれるときが来るといいなぁ、なんて。
〝バレンタイン〟
……はぁ、全く。これは嫌がらせか何かなのかい?
そんなもの、この僕と何の関係もないことなんて解っているだろう?
Kissなんて洒落た面しやがって。
もっとこう……お淑やかに「口付け」とか言えないわけ?
え、何。それは流石に痛いって?
あぁっ、もううるさいなぁ。
……ちっ何だよ、そこまで言うなら何だって良いよ。
Kissでもちゅーでも、口付けでも接吻でも。
どうでもいい、勝手にしてろよ。
せいぜい楽しめよな、幸せな奴等め。
〝Kiss〟