歴史ある

展覧会に

落選した日は


靴紐の端を

踏んづけながら

歩くしかなかったんだ



いちばん大事な部品を

抜きとられたみたいに

ぼんやりと　ふらふらと

峠を越えて


君の待つ家に

駆け出したら


靴紐が絡まって

ぼくは倒れ込んだ


本当は　靴紐が絡まったのか

蔓草が絡まったのか

わからないけど




-靴紐

方程式とか法則とか

見えない力が

働いているらしい　けど



恋に落ちる加速度と

熱が冷める減速の理由は

どう説明すればいいですか、先生



-答えは、まだ

僕たちが　はじめて手を繋いだ

遊園地




バルーンの大群が

空を飛び


子供たちは

スキップで

コーヒーカップに乗り込む



僕たちが　はじめて　はぐれた

遊園地


いちごソフトのしみ

捨てられたパンフレット

一枚450円のポラロイド写真



思い出は

メリーゴーランド



-センチメンタル・ジャーニー

変わり身の早いあなたのことだから

他の誰かにくっついて

街へ出ると思ってた



月のように　そっと

いなくなると思ってた



今　ここにいる　あなたに

何か企みがあるらしいことは

わかる

いつかは　いなくなるってことも



だから

この夜空だけを

信じて生きていくつもり



あなたと月は

宛にしない

あなたと見上げた月の光は

優しすぎて

嘘みたいに　真っ直ぐ



レースのカーテンの裏側で

キスをしても

あなたと月は

いつか　いなくなる

いつか


-君と見上げる月

どこへ行こう



どこから

どこまでが

近所なのか



街のはずれの

空き地を

横切りながら

白い雲だけを追っていく


どこかへ行こう

どこまでも行こう


-どこへ行こう