11/25/2023, 4:26:14 AM
その日は、突然やってきた。
14歳の誕生日だった。
彼がこの世からいなくなった。
交通事故だった。
その日の運気は絶好調だった。
友達がサプライズパーティを開いて、私の誕生日を祝ってくれた。
なのに…。
その知らせが耳に入ってきたとき、すぐには信じられなかった。
私の誕生日プレゼントを買いに行った帰りだったらしい。
彼のお母さんは泣きながらプレゼントを渡しに授けた。
薄いピンク色のセーターだった。
前に二人で遊びに行ったとき、近くのアパレルショップで見かけて、私がほしいと思っていたセーターだ。
たしかにあのときこのセーターを見つめていたかもしれないけど、彼はそれを覚えいたのだろうか。
彼が去ってから、その時初めて涙を流した。
あの涙を、私は一生忘れないだろう。
「お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!嬉しい!
10年前の誕生日パーティーとは違う顔ぶれが、誕生日を祝ってくれる。
私は今年、24歳になる。
みんなが帰ったあと、自分のタンスの奥を覗いた。
そこには小さくなった薄いピンク色のセーターが大切にしまってあった。
あれ以来、新しいセーターは一度も身に着けていない。